空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from Pandora’s box ~025

や、やめてぇ!おにぃちゃん!!
敵討ちなんて考えちゃだめぇ!その刀を捨てて!それは…その刀は…」

(クアォ~~!)

(バシュッ…バシュッ!)

 シェリーは跪いたまま地面に顔を伏せて叫び続けたが、その声がペドロの心に届く事はなく、ワイバーンの咆哮や妖刀の唸る音だけが耳に入ってくる。

(バシュゥ~…ドザッ。)

 顔を伏せて泣き叫んでいたシェリーだが、やがて周りが静かになった事に気付き、そっと顔を上げた。

「・・・終わったよ、シェリー…ワイバーンは全て切り刻んでやった…」

おにぃちゃん!

 ペドロの…焦燥しきった顔に僅かに浮かんだ笑顔を見たシェリーは、彼の無事を心から喜び駈け寄ろうとする。

来るな!シェリー!!

 ペドロの叫び声に、シェリーはビクリと立ち止まる。

「ど、どうしたの?おにぃちゃん…」

 ペドロの顔は歪み、歯を食いしばって何かに耐えているような表情で、静かに口を開く。

「に…逃げろ、シェリー。
 俺の体が…いや、刀が…
もう…もう敵討ちは終わったのに…刀が俺に訴えるんだ(もっと…もっと血を吸わせろ)って…
そこは既にこの刀の間合いに入っている。
早く!シェリー…逃げ…てくれ…も、もう…」

 自分の中の何かと戦うかのように、刀を振り上げようとする右手を、必死に左手で押さえつけているペドロ…その瞳には、実の妹のように可愛がっていた幼いシェリーが滲んでいる。
 しかし、やがて高々と上げられた妖刀は、獲物を狩る喜びに満ちたように、刀身に纏った風をぶるんと唸らせた。

「おにぃちゃん…まさか妖刀に…魅入られ…きゃあ!

(バシュッ!)

 風を斬る音に身を縮めたシェリー。
だが、彼女に衝撃が走ることは無く、恐る恐る顔を上げる。

「…お、おにぃちゃん!?」

 シェリーの瞳には、振り下ろそうとした妖刀にペドロの左腕が食い込んでいる光景が写った。

「ぐっ!
 俺の血なら、いくらでもくれてやる…全て吸い取ってもいい。
 だが、シェリーだけは…シェリーは俺の…」

「やめて…やめて!おにぃちゃ~~~ん!!

 狂ったように泣き叫ぶシェリー。

(シュッ!スタタタ・・・)

 突然、ペドロの顔が今まで以上に苦痛に歪んだ。
 見ると彼の背中には無数の手裏剣が刺さり、衣服を血で真っ赤に染めている。
 すると林の中から数人の忍者装束の男女が現れる。

「大丈夫か!?
…まだ人への被害は出していないようだな。」

 黒ずくめの忍者装束の男がシェリーを庇うように抱き、辺りを見回す。

「おじさん達は、リドルの…おねぇちゃんは?ネイおねぇちゃんを呼んで!
 ペドロおにぃちゃんを助けてぇ!」

 男に縋り付き、泣き叫ぶシェリー。

「ネイとは…まさか、あなたはネイ様の!?
ネイ様はまだ我々と合流しておりません。
合流する前に【+2旋風】が盗まれてしまい…合流地点に数人残して来ているので、やがてこちらへ向かうとは思いますが。」

 男は屈み込み、シェリーの顔を覗き込む。
 背後では他の忍者がペドロとの戦闘を始めていた。
 既に数人の忍者が倒れているが、ペドロもまた、手裏剣やくないを全身に浴びて、今にも崩れ落ちそうな状態だった。
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テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

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