空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from Pandora’s box ~001~

(グリッ…)

 真紅(あか)く燃えた瞳が獲物を捕らえる…それには既に理性や、まして知性などは微塵も感じられず、正に【オーク】の本性を剥き出しにしている。
 赤茶けた筋肉質の巨体がホール状になっている洞窟内でよろめきながらゆっくりと立ち上がる…2mをゆうに越すであろう、その巨体が獲物目掛け突進する。

「やっべぇ!本気にさせちゃった?」

 オークと対峙した、年齢に比べ少々小柄な少年は、名を《ジン・ジュニパー》と言い、赤みがかった髪はあまり手入れをしていないのか、ボサボサに逆立っており、その体格に似合わぬ大きな剣を背中の鞘に戻しながら、後悔の表情を浮かべる。

「あ~あ…今回の仕事は楽だって言ってたのに…ベルの嘘つき!
 って言っててもしょうがないか…よ~し、スペルチップ【炎(ファイア)】!インストール!!」

 そう叫んだジンは、懐から取り出した小さなチップを左腕のブレスレットにあるスロットに差し込む…すると今まで透明だったリングが赤く輝いた。

「行っけぇ!炎掌(パーム・ボム)!!」

 ジンの左手のひらに30センチ程の球状をした炎が生まれる…そして彼は向かってくるオークの懐に飛び込むとそれを叩きつけた。

(ヴォムッ!)

 球状の炎がオークの体に接した瞬間、それは轟音と共に破裂する。
 ジンはそのまま動きを止めず、流れるような動作で再び背中の剣を抜き、それを振り下ろす。
 爆発に一瞬ひるんだオークだったが、ダメージは小さく、振り下ろされた剣も手のひらで受け止められてしまった。

「マジかよ!?キレる前とは大違いじゃん。
剣も炎掌(パーム・ボム)も効かないとなると、もうこれ以上の攻撃魔法は…う、うわっ!?」
「グルルルワァァ・・・」

 巨体は地響きのような雄叫びを上げ、眼前の男目掛け丸太のような腕を振り下ろす。

(ドガッ!!)

 濛々と立ち込めた砂埃は視界を遮り、戦闘中の二人を覆う。

「ジン、大丈夫ぅ!?…援護するよ!!」

 そう叫んで岩陰から勢い良く飛び出した細身の影は《シェリー》…やや幼さの残る少々ボーイッシュな少女は、明るいブルーのショート・ヘアを揺らし、立ち込める土煙の手前に音も無く着地した。
 首にかけられた細いチェーンの先には、淡い光を放つ青い石が揺れている。
その出で立ちは、本人はくノ一をイメージしているようだが、むしろ日本の祭りなどで良く見かけるもののように思える。
少々胸元が開いた袖の無い着物で、下半身には黒のぴったりとした膝上までのパンツを履き、手には一応手甲らしき物を着けている。

「ボクだってお姉ちゃんみたいに強くなるんだモン!
…ジン、伏せててね!?…石礫繚乱(ロックストーム)!!」

 それは、リドルランド屈指のくノ一【紫薔薇(パープル・ローズ)】の異名をとった彼女の姉の技苦無繚乱(ローズストーム)を模倣したものであったが、まるで癇癪を起こした駄々っ子が手当たり次第石を投げているようにしか見えない。

(ボゴッ!)
「ぐぎゃっ!」

 立ち込める砂埃でよく見えないが、シェリーは自分の放った技(?)がヒットした感触を得た…が、その断末魔の声は彼女に聞き覚えのあるものであった。

「え?…ま、まさか…ジン?…ねえ、ジン!?」

 シェリーはいまだ収まらぬ砂埃に目を細め呼びかけるが、返事は無い…代わりに怒りに満ちたモンスターの唸り声が響く。

「グルワァァァ!!」

 身の危険を感じたシェリーが咄嗟に身構える…と、突然砂埃の中で何かが燃えるように赤々とした光が揺らぐ。
 オークの攻撃かと思い、シェリーはいつでも跳べるように前傾姿勢をとり、両足の親指に重心を込める。

「グォ…グゴァァァ~…」

 何故かオークの悲鳴が聞こえる。
シェリーは身構えながら砂埃が納まるのを待った。
 やがて視界が開けてくると、仰向けに倒れ炎に包まれて動かなくなったオーク、そしてその手前には後頭部にひと目でそれと分かる程のコブを腫らせてうつぶせに倒れているジンが見えた。

「ジン!大丈夫?…ジン!!」
「う…ん…シェ、シェリー?はっ!?…オークは?」

 シェリーの膝の上で揺り動かされ、虚ろに瞳を開いたジンだが、すぐに戦闘中だった事を思い出す。

「大丈夫…ほら!」
「そうか…サンキュ!シェリー…助かった。」

 ほとんど炭となったオークに一瞥を向けたジンは、安堵の表情で振り返るとシェリーに礼を言う。

「え!?ジンの魔法で倒したんじゃないの?」
「えぇ!?だって俺は突然後頭部を攻撃されてそのまま気を失って…そうだ!背後から攻撃されたってことは、まだ他にも敵が!?」

 すかさず立ち上がり、周囲に注意を向けるジン…それをシェリーが慌てて止める。

「あ!あのあのあの…もう大丈夫だと思うよ?え…と、その…逃げて行ったから…」

 さすがに彼女も、アレが自分の放った物だとは言えなかった。

「そうか…それなら良かった。…あ痛ぅ…やっぱり頭が痛てぇ…けど、そうすると誰がオークを倒したんだ?」

 緊張を解いたジンは、痛みがよみがえったのか、思い出したように後頭部をさする。

(ズキュ~~ン!!)

 突然、岩陰から銃声が聞こえる。

「ジン!危ない!! 銃弾白刃取りぃ!!!!!」

 銃声も鳴り止まぬ内に、ジンの背後に跳んだシェリーが眉間の前で両手を合わせている。
 彼女の手の間からはぶすぶすと少量の煙が上がっていた。

「まだ仲間がいたの? …よ~し!」

 銃弾が発せられたであろう場所から、人の形をした影が慌てた様子で踵を返して洞窟の奥へと消えて行くのが見える。
シェリーが影を追って再び跳ぼうとするが、ジンが呼び止める。

「もう間に合わないって…深追いはしない方がいい。」
「だけどジン…ボクの足なら、きっとまだ間に合うよ!?
 …きっとあいつがボスだよ!?」

 跳ぶ体制のまま、顔だけをジンに向けて、シェリーがもどかしそうに言うが、ジンは瞳を閉じゆっくりと首を数回振った。
しかしその行為で頭の痛みを思い出し、後頭部をさすりながら彼女を諭す。

「痛てて…確かにあいつが黒幕だと思うが、もうとっくに依頼の範疇を超えてる…
 拳銃を持ってるって事は、ありゃあきっとディジェネの奴だな…全く異世界とリドルが繋がって、互いに新たな文化の交流が生まれたのはいいが、犯罪までは持ち込んで欲しくないよな?
…しっかし、【銃弾白刃取り】て…無茶なワザ使うなよ。」

「てへへ…だってボク、お姉ちゃんみたいに強いくノ一になりたいんだもん!
それよりジン…怪我は大丈夫?」

 戦闘態勢を解いたシェリーがジンに駈け寄り、後頭部をさする。

「あぁ…この位ならどうってことない。
 けど、あいつがディジェネだとすると、恐らく魔法は使えねぇだろうし…とすると、オークを倒したのは奴以外にいるって事か?」

 それを聞きながら、シェリーは少し考えると、ジンの体を起こしながら言う。

「オークが燃えたってことは、炎系の魔法でしょう?
ボクは魔法自体ほとんど使えないし、本当にジンじゃないの?」

 ジンは腕を組み、先程の戦闘を頭の中で思い返す…が、戦闘中に気絶した彼には当然、自分が倒したとの結論には至るはずもない。
しかし状況から見ても他の可能性もまた限りなく低かった。

「ん~…けどここには敵以外は俺とシェリーしかいなかったんだし、さっきの奴って可能性も無いだろうからな。
…やっぱり俺の炎掌(パーム・ボム)が後から効いたのかな…うん。」
「そ、そうだね。どっちにしろ仕事は済んだんだから、早く帰ろうよ。」

 炎掌(パーム・ボム)は火種を相手に接触させ、大きな爆発を生み出す魔法で、「燃える」というよりはダイナマイトのように「爆発・破壊する」魔法であり、先程のように燃やすという効果は低い…それは二人とも知っていたのだが、それ以外の可能性を見出すことは二人にはできなかった。

「そ、そうだな。こんな所、早く出よう…って、依頼主(スポンサー)は?」
「あ…あれ?戦闘が始まった時にはボクの後ろに隠れてたんだけど…」

 二人はきょろきょろと辺りを見回すが、先程炭になったばかりのオークや、それ以前の戦闘で倒した無数の敵が転がるばかりで、目的の人物は見当たらない。

「ん?…ま、まさか…コレ…」

 ジンが折り重なって倒れている敵の下敷きになっている【何か】を見つけた。

「え?…何ソレ…って、ま…まさか…きゃあ!?アレクさん!

 どうやらジンの見つけた【何か】が、依頼主(スポンサー)である《アレク》であったようだ。
 しかしソレは、ノームという種族にしてもあまりに血の気が無く、関節は通常ではあり得ない方向に曲がっていた。

「シェ~リ~!俺が戦ってる間、依頼主(スポンサー)を見てろって言ったろ!?」
「だ…だって、敵が多すぎてボクだって大変だったんだよぉ!?」

 二人は額を擦り付けんばかりに怒りを露にして互いを責め合う。

「だったらこっちに敵が回らないように、全部相手にしててよ!!」
「ナニ無茶言ってんだ!こっちで手に負えない一匹や二匹はそっちで何とかしろよ!」

     ・
     ・
     ・

 二人がアレクにまだ微かだが息があるのに気付くのは数分後であった…
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はみぱん | コメント:4 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

こんにちは^^
拙宅に遊びに来ていただいたようで、ありがとうございます。足跡を辿って何気なくやって来ましたが、なかなかハイテンションで楽しい(笑)
普段暗い話ばかり書いているせいか、こういうのを読むと思わずにやりとしてしまいます^^
また、時間があるときにまとめて拝読しに伺います。よろしければ拙宅にも遊びに来てくださいね^^
ではでは、本日は足跡まで。
2009-10-30 Fri 12:48 | URL | 和哉 [ 編集]
ご訪問&コメントありがとうございます<(_ _)>

先程少々読ませて頂きましたが、(ノ゜ο゜)ノ オオオオォォォォォォ-と唸りながら読ませて頂きました^^;
ウチは【小説】などとは程遠い【絵の無いマンガ】のようなものですので、難しいコトは書けません><

けれど、何かの合間にお立ち寄りいただき「くすっ♪」っとでも笑って行って頂けたら、それで幸せです^^

もちろん、私もまたお邪魔させて頂きますよ♪
これからもどうか宜しくお願い致します<(_ _)>
2009-10-30 Fri 21:11 | URL | rum_bulion [ 編集]
きゃぁ♪なんて楽しげなのー!
文章にスピードがあるって体験、初めてしました(笑)
小説というエンターテイメントですね♪
これからテンション上げたいときにお邪魔させていただいては、読み進めていきたいと思ってます!!
それから、わざわざしょっぼい自宅にまで足を運んでいただいて…!!さらにもったいないお言葉!!ありがとうございます!
うちは本当にできたてでちまーいところですので、おこがましいのですが…!リンクさせていただいてもよろしいでしょうかっ??
2009-11-22 Sun 14:13 | URL | 藍高 [ 編集]
そそ…そんな褒め倒してどうするおつもりですかっ!?Σ
調子にのっちゃいますから…(;^_^A アセアセ

いつでも気楽にお越しくださいね♪
現在長編の2本目のほぼ中盤で停滞していますが(汗)、過去記事にコメを頂いたりすると「あぁ…そうだった」なんて、忘れかけてた設定を思い出せる事もあるので、いつでも気軽にコメしちゃって下さい<(_ _)>
また、誤字・脱字は勿論のコト、「あれ?これっておかしくない?」などの疑問が浮かびましたら、どんなことでも遠慮なくご指摘願います<(_ _)>

リンクに関しては、むしろありがとうございます♪
このコメを打ち終わったら、すぐさま貼らせて頂きますねっ♪
2009-11-22 Sun 14:43 | URL | rum_bulion [ 編集]

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