空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from pandora’s box ~024

 翌朝、空が藤色に染まった日の出前…ネイが静かに布団から出ると、シェリーも目を覚まし、重そうな瞼を擦りながら姉に声を掛ける。

「あ…おねぇちゃん、おはよう。」

 ネイは起き上がろうとする妹をそっと布団に戻すと、静かに言った。

「ごめんね…起こしちゃった?
まだ早いから、シェリーはもう少し寝てなさい。」

 姉の言葉に首を振り、体を起こすシェリー。

「ん~ん。
 今日はペドロおにぃちゃんと、釣りに行こうと思って…それに、おねぇちゃんのお見送りを、ちゃんとしたかったから…」

 ネイは瞳を細め、愛しむように妹を抱きしめた。

「おねぇちゃん…苦し…」

 そうして2人はそれぞれ、出かける用意を整えると、家を出て歩き始める。

「今度はいつ帰ってくるの?」

 竹を切り出した釣竿を担いだシェリーが聞く。

「う~ん…分からないけど、出来るだけ帰れるようにするから、シェリーはおじいちゃんの言う事を良く聞いて、いい子にしてるのよ?」

 妹の横に並びながら、ネイが言い聞かせるように指を立てる。

うん、分かった。シェリー、いい子にしてるよ!
だから早く帰って来てね?


 大きな瞳でにっこりと笑い、シェリーが答えた。

「ペドロの家は向こうだから、ここで分かれましょう。
…元気でね?」

 そう言ってネイは、妹の頭をくしゃくしゃと撫でると、林の中へと消えて行った。
 シェリーは姉の姿が見えなくなるまで手を振っていたが、やがて踵を返し一件の家の前に立つ。

おにぃちゃん!釣りに行こう!!

 元気良く声を掛けたシェリーだが、一向に返事の返る様子が無い。

「もしかして、またあそこに…」

 シェリーは不安を感じながら、ペドロの父の墓がある丘へと駆け出した。

(シャァ~~!)

 丘に近付くと、木々の向こうから爬虫類独特の呼吸音が聞こえる。
 その声の主を見つけたシェリーは、思わず小さな声を上げた。

「ワ…ワイバーン!?」

 数匹のワイバーンが、丘の上に置いてある何かを啄んでいる。

(ま、まさか…おにぃちゃ…)

 あまりの光景に、シェリーはその場にへたり込んでしまった。

(ヴォンッ!)

 と、突然風を切るような低い音がしたかと思うと、一頭のワイバーンの体が真っ二つに切り裂かれる。

「・・・最後の食事の味はどうだ!?ウチで飼っている牛は美味いだろう?」

 嘲笑うかのような声をワイバーンに叩きつけ、ガサリと草を分けて男が姿を現した。

「おにぃちゃん!?」

 思わず声を上げるシェリー。
 男もそれに気付き、ワイバーンを威嚇したまま視線だけをシェリーに移す…それは紛れも無くペドロであった。

「シェリーか…」

 その手には水に濡れたような妖しい輝きをした刀が握られている。
 刀は、自らを取り巻くように常に風が渦を巻いていた。
 ペドロがシェリーの持っている竿を見つけると、静かに口を開く。

「いつも言ってただろ?釣りは生きのいい餌が肝心だって…
 ここでウチの牛を使ってこいつの試し斬りをしていたら、こいつら、あっという間に寄って来やがった。」
 シェリーに気を取られているペドロを、ワイバーンは見逃さなかった。

(クワァ~~!)

 ワイバーンがペドロに飛び掛る。

(バシュゥ!)

 薙ぎ払うように弧を描いた刀…まだ通常の刀の間合いの遥か遠くにいたワイバーンの首がばっさりと斬られ、その頭を転がした。
 胴体だけになったワイバーンは、惰性でペドロに向かって跳んでいたが、直前で失速すると血飛沫をペドロに浴びせながらその身を地に叩きつけ、動かなくなる。

「どうだこの威力…昨日、お前を送りに行って正解だったよ。
 こんな刀があるなんて…さあ、俺の親父を喰った奴はどいつだ?
フッ…いずれにしろ、一匹たりとも帰すつもりはないけどな。」

返り血に染まったペドロが殺意に燃えた瞳を細め、にやりと微笑む・・・
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テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

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2009-01-28 Wed 23:05 | | [ 編集]

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