空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from Pandora’s box ~023

・・・それはまだ、リドルランドと日本が繋がる以前の話である。

 リドルの城下町から離れた【オードビィ山】に、小さな集落があった。
 山の向こう側に沈み行く夕日を受け、いつまでも佇む少年が一人…項垂れた視線の先には、彼が作ったのであろう…木の枝で組まれた簡素な墓が夕日に赤く照らされていた。

「おにぃちゃん、またここにいたの?」

 声を掛けたのはシェリー。
 まだ12歳…幼さの残る少女は、今ほど肉付きもなく、更に痩せて見える。
 少年は背後から突然かけられた声に、慌てて頬をこすり、振り向く。

「シェ、シェリーか…」

 無理に作られた笑顔…少年は出来るだけ平静を装い、まだ幼いシェリーに優しく答えたが、その瞳は赤く腫れていた。

「おにいちゃん…ここにいちゃダメだよ…またワイバーンが…
おにぃちゃんまでワイバーンに襲われちゃったら…ボク…ボク…」

 そう言いながら、幼いシェリーもまた瞳に涙を浮かべ、今にも泣き出しそうな表情をしている。
 今までも年に数回程度、別の山からワイバーンという、ドラゴンに比べ体長も小さく知能も低いドラゴンの亜種が餌を探しにオードビィ山に来ることはあったのだが、大抵は野犬などの山に住む動物や家畜などが狙われる事が多かった。
しかし先月、運悪くシェリーの慕っている少年【ペドロ】の父が仕事中にワイバーンの被害に遭い、命を落としたのだ。

「…ごめんごめん。
 もう帰るつもりだったんだ…さあ、一緒に帰ろう。」

 ペドロはそっとシェリーの肩を抱くと、村の方へと歩みを進める。

「うん!」

 零れそうだった涙を乱暴に拭い、シェリーは肩に回された手を握り、ペドロを見上げた。

そうだ! おにぃちゃん、これ…あげる!」

 林道を下り、薄暗くなった景色の奥に、村の明かりが見え始めた頃、思い出したようにシェリーが懐を探る。
 差し出されたシェリーの小さな両手から銀色の細いチェーンが滑り落ちる。
 手の中には殆ど加工されていない透き通った青色の石がぼんやりと光を放っており、台座には銀色の翼があしらわれていた。

「これは…【ブルー・ラグーン】?」

 覗き込んだペドロの顔が青白く照らされる。
 それは、オードビィ山で採れる鉱石の一つで、魔力を秘めた石である。
大きさや純度によってはとてつもない魔力を持っており非常に高値で流通しているが、今シェリーが持っている物は大きさも純度も低く、ブルー・ラグーンとしての価値は限りなく低いものだった。

「うん!いつもおにぃちゃんが釣りに連れて行ってくれる川で見つけて、じいちゃんにネックレスにして貰ったの。
 小さいけど、お守り位にはなるかなって…はい!」

 瞳を輝かせ、ブルー・ラグーンを差し出すシェリー。
 ペドロはそれを受け取って首にかけると、照れ隠しにシェリーの頭をがしゃがしゃと掻き回す。

「ダメじゃないか。一人で川になんか行ったら…釣りに行きたかったら、俺を誘えって!釣りの腕もまだまだなんだしな!?
…けど、ありがとうな?」

 頭を撫でられ、髪をボサボサにしながらも嬉しそうな笑みを浮かべるシェリー。

「あ!早く帰らないと、またじいちゃんに怒られる!」

 シェリーの言葉に、二人は再び村へ向かい歩き始めた。
 歩みを進めながらペドロがネックレスを見つめる。

「俺にも…俺にも翼があれば…あんな奴等なんか…」

 ペドロの呟きはシェリーには聞こえておらず、自宅まで送ってもらった彼女は笑顔で手を振り、家の中へと入って行った。

「おかえり。
 シェリー、ちょっと遅くない?」

あ!おねぇちゃん!? 帰ってきてたの?

 家に入るなり、シェリーは声の主に気付くと、目を見開いて駈け寄り抱き付く。

「ちょっと、危な…倒れるってば…ふふふ。」

 勢い良く抱き付かれ、バランスを崩しそうになりながらも久しぶりの妹との再会に笑顔を隠せないネイ。
 彼女もまた現在とは違い、ポニーテールに束ねた髪が若々しく、丁度少女から女性へと変わり行く間のゆらめきを持つ時期である。

「くノ一のお仕事はお休み?
 そのまま辞めて、帰ってくればいいのに。」

 姉に抱き付いたまま、顔を上げてシェリーが訴えかける。

「そうは行かないわよ。
 明日、このオードビィ山の山頂でリドル王の宝刀【+2旋風(つむじ)】のお清めがあるから、こっちに来ただけ。
王様の許しを得て、今夜だけ里帰りを許されたけど…明日の日の出には仲間と合流しなきゃ。」

「つむ…じ?」

 シェリーは頭の頭頂部を指差し、首を傾げる。

「ふふ…その旋毛とは違うのよ?
 つむじ風のつむじ…魔力を持ったその刀は、鞘から抜いただけで旋風を巻き起こし、離れた敵をも一刀両断に出来る刀なの。」

 ネイが妹の肩を抱きながら言う。

「へぇ~、凄いんだね?」

「そう…けど、【旋風】は妖刀でね?
 強い魔力を持った人でないと、妖刀に魅入られてしまうの。」

 姉の話に頷きながら、熱心に聞き入るシェリー。

「さあ…そんなことより、食事にしましょう。
 シェリーもお腹が空いたでしょう?
手を洗っておいで。」

 大きく頷いたシェリーが、台所へとかけて行く。
 ネイはふと窓の外に気配を感じたが、職業病かと呟くと自嘲気味に微笑み、食卓へ着いた。
 その晩、久しぶりの姉との再会にシェリーは片時も姉と離れようとせず、結局フロから布団まで一緒に入る事となってしまった。
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テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

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この記事のコメント

過去編突入ですねっ!
しっかり読まないとッ( ;゚д゚)

そういえば、前回のコメ返で何かあったらぬる~いコメント待っていると(笑)書かれてありましたね♪

私の意見など参考にもなりゃしないかも、ですが何か思ったことがありましたら「ぬる~く(笑)」書いちゃうかもです(/ω\)ハズカシーィ

私は最後を読みきってから、全体のイメージを考え、ここはもう少し省いた方が…とか、この説明はしっかりしておいた方が良かったのでは…と思うタイプなもので……途中の今はとにかく読むことに専念している感じです(〃゚ω゚〃)
これからどうお話が転がっていくか分からないので…(^^ゞ
「あれ?」と思っても、その説明が後々出てくるかも…と思ってしまうのですよ。
最後にズババババ~~ン!と出るかもしれませんが、どうか怒らないで下さいましねっ!?

ちなみに今日で言えば、「ワイバーン」が出てきましたが、「色」の説明があったら、まだイメージもしやすかったような……なんてっ!!
毒々しいのか、すっきりとした色合いなのか…。
「ドラゴンの亜種」とまで書いていたので、大きさなどは大体想像しやすいのですが…。
それによってイメージが大きく変わると…(^^ゞ

ホラ、大した事無い疑問しかなかったッ!
ごめんなさいッ!!
rumさまのファンに石を投げられますよっっ(>_<)

……こんな奴ですが、これからもよろしくお願いしますっ!
2009-07-27 Mon 16:58 | URL | 鷹の爪痕 [ 編集]
そういうコメントが欲しいんですっ(┯_┯) ウルルルルル
少し前、筱さんにイラストを描いて頂いた際「ベルの設定がわかりませんよ?」と言われた事があります^^;
逆に、以前は設定を細かく表現しすぎて「俺はモンスター設定集を読まされているのか?」みたいな突っ込みを受けた事もあり…
悩んだ挙句、「キャラなどの表現は最低限にとどめ、後は読んで頂ける方の想像力にお任せしよう」と落ち着いたのですが…これがどうもバランスが取れていないようですね~><
そりゃ「そこにワイバーンがいます」って言っても、それだけじゃ何が何だかわかりませんよね~^^;

貴重なご意見、本当にありがとうございますっ<(_ _)>
今後は、その辺りに気をつけて表現のバランスを探っていきますね?

最後に来る…怒涛のツッコミ…ドキドキしながらお待ちしております<(_ _)>

P.S. 「大した事ない疑問」だなんて、とんでもないっ!!
私の弱点を突く、見事な突っ込みでしたよ♪これからもバンバンお願いします<(_ _)>
まぁ私…弱点だらけなんですが…( ┰_┰)
2009-07-27 Mon 21:20 | URL | rum_bulion [ 編集]

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