空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

Humming from Pandora’s box ~022

「はっはっは…もっと踊れ、歌え。」

 時は少々戻り、リドルランドの中心であるリドル城の天守閣である。
 着物姿の女性に囲まれ、酒を煽りながら悦に入った表情で宴に興じる初老の男。
 しかしその体は鍛え抜かれ、実年齢よりもはるかに若く見える。

「よ~し、盛り上がってきたところで、ディジェネの国から取り寄せたこいつを披露しよう!」

 男は部屋の隅に置かれ、布で覆われていた物を取り出すと、ぱっと布を取り払う。

「きゃあ!何ですの…それ?」

「三味線でしょうか?」

 男は含み笑いをしてベルトを肩にかけると三味線と言われたそれを鳴り響かせる。

(ギャァァ~ン!)

「きゃっ…五月蝿…す、すみません。」

 女性達は突然の雑音に思わず耳を塞ぐが、慌てて姿勢を正す。

「はっはっは…よいよい。
これはエレキギターと言ってな?電気によって音を増幅する楽器らしい。
 俺には楽器の心得がない故、このような騒音になってしまったが、お前なら弾けるのではないか?」

 そう言って男はそれまで三味線を弾いていた女性にギターを手渡す。
 リドルランドは電気ではなく、【魔法】によって繁栄して来た世界である為、女性はそれを少しの間物珍しそうに見つめていたが、やがて意を決したように音を出し始めた。

(ギュ~ン…ギュ~ン)

「リドル王様、やはり三味線とは勝手が違うように思います。
わが国にも音を増幅する魔法はありますが、それでもこのような音にはなりませぬ。」

 手渡されたギターを三味線のバチで鳴らしていた女性は、やはり思うようには音を出せないようだった。

「そうか、なら今度ディジェネの音楽家を招待しないといけないな。」

 女性はリドル王にギターを返そうとするが、物珍しさに他の女性がギターを弾きたがり、奪い合いが始まる。

「はっはっは…こら、ケンカをするな。折角のギターが壊れてしまうではないか。」

 しかし自分の取り寄せたギターを取り合う姿に、男は少々満足気に微笑む。

(…すっ)

 そんな騒ぎの中、天井の板が音もなくずらされる。

「ん…さあ、宴はお仕舞いだ。ほら、ギターを置いて…また明日にしよう。」

 突然の言葉に、女性達は少々不満気味な表情を見せるが、不承不承部屋を後にする。
 リドル王は皆が出て行ったのを確認すると小声で天井に呼びかける。

「…ネイか?」

「はい。」

 音もなくリドル王の前に姿を現したネイ。

「おお!良く戻った。相変わらず美しいの。」

 そう言ってネイの頬に手をやろうとしたリドル王だが、ネイはするっとその手をかわす。

「王様、またこのような時間から宴ですか?お酒も量を過ぎると毒になります。」

「何を言う。まだ100には10年以上あるというのに、酒などにやられはせんて。」

 リドルの人間はディジェネに比べ、倍近くの寿命があるため、87歳であるリドル王もディジェネで言えば40代半ばといったところである。

「お年の事を言っているのではありません…私は王様のお体を…」

「はっはっは…まあ、酒と宴は一生やめられんだろうな。
…ところで、例の方はどうなっている?」

 リドル王はそう言って豪快に酒を煽る。

「はい、特に変わった様子はありません。
本当に彼は時空が繋がった事に関わっているのでしょうか?」

「そうかも知れんし、そうじゃないかも知れん…まあ、可能性のある人間であることは間違いない。」

 リドル王とネイは、それからしばらく声を潜めて会話をしていた。

「折角だ。一杯飲んで行かぬか?」

 会話がひと段落すると、リドル王は杯に酒を注ぎ足し、ネイに勧める。

「いえ…まだこれから一仕事しないといけませんし…妹を待たせておりますので…」

 断られた杯を自ら飲み干し、リドル王は目を細め、外の景色を眺める。

「妹…シェリーと言ったか。俺の知らぬ所で起こった事とはいえ、可愛そうな事をした。
 あの一件以来、表向きはお前を破門した格好になっているが…お前が許してくれるのなら、すぐにでもシェリー共々くノ一部隊へと戻してやれるのだが…」

「許すも何も…むしろあれは私からお願いをした話ですから。
いずれにせよ、シェリーにはくノ一になって欲しくはないんです。
…彼女は憧れているようですが…では、時間もありませんので。」

 一瞬だけ顔を曇らせたネイだが、リドル王に頭を下げるとすぐにその姿を消した。

「…言い忘れていましたが、ベル達が仕事でディジェネの国へ渡ろうとしていますので、宜しくお取り計らいを…」

 最後にその声だけを残し、ネイはそれきり気配を消した。
 誰にも気付かれずリドル城を出たネイは、シェリーの後を追うべく凄まじい勢いで城下町の屋根や壁を跳ぶ。
 ネイによって切り裂かれた風の音に、彼女は過去を思い浮かべていた。
スポンサーサイト

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:2 | トラックバック:0 |
<<Humming from Pandora’s box ~023 | HOME | Humming from Pandora’s box ~021>>

この記事のコメント

お久しぶりです、ラムさんおかえりなさい!お仕事お疲れ様です!><
小説、久々のネイと、そしてこれから過去の彼女のことがわかりそうでドキドキです! 更に気合いを入れて読ませて頂きますね^^
2009-07-25 Sat 14:10 | URL | 神田夏美 [ 編集]
ホントに今回は疲れました><
いきなり「今日、これから仙台に行けるか?」って、行けるワケないじゃないですか!(行きましたけど^^;

しかし私の留守中に拘らず、小説も読んで頂いて、コメントまで…本当にありがとうございます<(_ _)>
これからもよろしくです(o*。_。)oペコッ
2009-07-25 Sat 16:13 | URL | rum_bulion [ 編集]

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。