空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from Pandora’s box ~014

「あの後、私なりにどうしてあんな植物が発生したのかを考えていたのですが…夫の日記を読んで、鉱石を粉砕した日と私が襲われた日がほぼ一致するので…恐らく排気口から漏れ出した粉塵が土壌に染み込み、偶然そこに生えていた蔓植物がその養分を摂り込んでモンスター化したのでは…と。」

 ジン達は口々に感嘆の声を上げていたが、ベルは一人、腕組みをして唸っている。

「…けど納得いかへんな。そんなんやったらスピリッツ山の植物は、みんなああなってまうんやないか?」

「そっかぁ~、それもそうだよね!?」

 シェリーがうんうんと大袈裟に頷く。

「いえ、スピリッツ山の植物には耐性があることを発見しました。

それに鉱石のままの状態ではそのような事象が起こる確率は限りなくゼロに近付きます。」

「ほぅ…さすが、昔ご主人の助手をしていただけはあるなぁ。
美沙さんも結構研究熱心なんやなぁ…」

 ベルのセリフに美沙は驚きの表情を見せる。

え!?わ…私、助手をしていたなんて事言いましたっけ?

「ん?…いや、聞いてへんけど、ネイが美沙さんの家でご主人と二人で白衣を着た写真を見た言うてたからな?」

「あ…そ、そうなんですか?
…別に隠していたわけではないんですが、私が言った記憶が無かったもので少々驚きました…ネイさんは洞察力がよろしいんですね?
 あの…ところで、依頼の方は…」

 蔓植物の説明が一通り終わった所で、美沙は本来の目的に話を戻した。

「あぁ…せやな。しかし、前回みたいな事が万が一にもあると嫌やからな…幾つか確認させて貰うで?
 まず、この日記帳を残してご主人がいなくなり…日記の内容からは、以前から恨みのあった【菅平】に対し自分の研究の成果であるストーン・ゴーレムを使って何かしらの復讐をしようと、日本へ戻り鬼押出しに潜伏している。
…ここまでは間違えあらへんな?」

「はい、夫の心の中までは分かりませんが、恐らく間違いありません。」

 美沙はベルを見つめて、しっかりと頷く。

「そこで第一の質問や。
何故ご主人が鬼押出しにいるっちゅうのが分かるんや?」

「それには幾つかの根拠があります…
 一つは夫が以前勤めていた研究所…つまり【菅平教授】の居場所…が軽井沢にあり、そこから近いという事。
 また鬼押出し園は結婚前に夫とよく行った、所謂デートコースでした…そして職業柄か夫は、その地形や岩にかなり関心を持っているようでした。
 そうしてそこは、その名の通り【鬼】を連想するようなごつごつとした岩が溢れていますので、ゴーレムを作るなら恐らくそこしかないと…」

 バッグから地図を取り出した美沙はそれをテーブルの上に広げ、ベルやジン達に分かるようボールペンで鬼押出し園に印をつけながら説明する。

「ウチらはリドルの者(もん)やから、その【鬼押出し園】っちゅうのがどんな所かは分からへんけど、まあ納得の行く根拠はあるようやな…
ほな次の質問や…今回の依頼はご主人の作ったストーン・ゴーレムを破壊しろって事やけど、ストーンゴーレムはリドル(こっち)じゃ比較的【手強い】部類に入るモンスターで、そう簡単には倒せへん代物や。
 弱点はあるにはあるが、それは術者…つまりこの場合ご主人やな…を気絶させるか眠らせるなどして、意識をなくさせる事なんや。
 そうすればコントロールする者がいなくなり、ゴーレムは動けへんようになるんやが…」

 ベルの話のトーンが落ちる…当然、自分の夫が傷付けられるのを承諾する妻はいないだろう。
 話の内容を理解した美沙も俯き、少しの沈黙が生まれた。

「…けれど、夫が犯罪者になるのを防げるのなら…多少の事は仕方ないと…でも、出来るだけそれは…」

「分かっとる…それはほんまに最後の手段や
…ウチの【眠りの粉】で上手く眠らせる事が出来ればそれに越した事ないんやが…万一それに失敗した場合は、ある程度の事には目をつぶってもらわんとあかんようになるで?」

 美沙は唇を噛み締めて下を向いていたが、やがて小さく頷く。

「…か、構いません。お願い致します。」

「そか…なら最後に聞くが、もしも依頼を受けるとなったら、当然ウチ等が日本へ出向くことになるわけや。
向こうはリドルに比べて物価が高いから依頼料も割高になるけど…ええか?」

 ベルはそう言いながらいつものプラスチック製のそろばんを取り出そうとするが、それより美沙の返事の方が早かった。

「お金に関してはいくらでも構いません。とにかく一刻も早く夫を…」

「よっしゃ、分かった。ならすぐに行こか?ジン・ネイ!仕事やで!?はよ支度せい!」

「お…おう!」

 ベルなりに納得が行ったのか金のせいかは分からないが、彼女は先程までの疑心暗鬼な態度をころっと変えて、ジン達を促した。
ジンは彼女に気圧されたように間の抜けた返事をする。

「あたしは今回パスするわ。リドル国王の所へ行く用事があるし…まあ、ついでにあなた達が日本へ渡る手続きは速やかに出来るようお願いしておいてあげてもいいけど…」

 それまで誰もいなかったはずのソファーにネイが腰掛けている。
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テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

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