空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from Pandora’s box ~012

「今月もこのまま行くと、かなり厳しいで…」

 プラスチック製の小さなそろばんをパチパチと弾きながら、ベルが呟いた。

「えぇ~?またごはん減るのぉ?」

 ソファーで寝ていたラムがそれを聞き、悲しそうな声を出す。

「ここんとこ時空ゲートでのトラブルものうなったからな…普通の探偵業務だけじゃ元々かなり厳しかったのは事実や。
また、ディジェネの護衛なんかの依頼が入ればええんやけどなぁ…」

 ベルがわざわざリドルの城下町から離れたこの時空の狭間の間近に事務所を構えたのは、当初頻繁にあった密入国や日本側へ入り込もうとするモンスターを捕らえる事により支払われる賞金を稼ぎやすくするためだったのだが、最近では法整備も進み警備自体も強化されて、そのような事件がめっきり減ってしまったのである。

「何か簡単で、しかもがっぽり儲かる仕事でも入ってきぃへんかな…」

 ベルが天を仰ぎ呟く。

「居所の分かっている人の所在調査とか?」

 いつの間にかシェリーも会話に加わっていた。

「あ~せやな~…そんなんやったら楽でええけどなぁ…って、そんなんあり得るか!」

 そんな他愛も無い会話をしているところへ静かに事務所の引き戸が開けられる。

(カラカラカラ…)

「あの…すみません。」

「やったで!お客はんや。
いらっしゃ…あぁ!?あんたは…」

 待望の来客に、ベルは勢い良く振り向いてこれ以上は無いという程の笑顔で迎えたが、そこに立っていた女性を見るなり不快な態度を露にする。

「こないだみたいな依頼やったら受けへんで?
あんなん、いくらもろうても割に合わんからな?」

 そう、入り口に立っていたのは増田美沙…数週間前に正体不明の蔓植物の退治を依頼に来た女性である。
 ソファーの上にいたラムも、眉間にしわを寄せて奥の方へと移動する。

「いえ、今回は人探しをお願いしたくて…ここ数日夫の姿が見えないもので…」

「また山へ入っているんとちゃうか?
前にも一日中顔を会わせない日もある言うてたやんか。」

 ベルにとって、あの体験は余程ショックが大きかったのであろう…普段の彼女なら金の臭いに飛びつかないわけが無い。

「えぇ…けど今回は違うんです。
今までは顔を会わせなくても研究室にこもるとか、家には必ず帰ってきていたんです。
 それが、もう三日以上家に戻った気配がないので…」

 美沙は神妙な面持ちで入り口に立ち尽くしている。

「あら♪お客さんですね?ようこそいらっしゃいました。
どうぞお掛けになって下さい…すぐにお茶をお出し致しますので…」

 給湯室のドアの前にすうっと現れたメアリーが美沙に気付き、応接セットの方へ案内する。

「こらメアリー、何勝手なことしとんねん!
まだウチ等は依頼を受けるとは言うてへんねやで!?」

 蔓植物の一件の時に同行していなかったメアリーには、当然美沙を嫌う理由など無い。
 と言うよりむしろ彼女は美沙の事自体を覚えていないようだった。

「あらぁ?受けるも何も、お話を聞いてみないと分からないでしょう?
折角のお客さんを大切にしなきゃね?…うふ♪

 そういうとメアリーは、何か言おうとするベルを気にせず、給湯室へと消えて行った。

「…ま、まあええわ。話だけは聞いたるけど、依頼を受けるかどうかは別やで?」

「分かりました。
けど今回のお願いは、どうしてもこちらの方々のお力が必要なんです。
 と申しますのも、捜索をお願いしたい場所が…いえ、捜索と言うより居場所はほぼ見当がついているのですが…」

「ベル、ほら!居所の分かっている人の所在調査だよ!?」

 皮肉交じりにシェリーが口を挟む。
彼女もまた、美沙に対し良い印象を持っていないのであろう。

「そんなわけあるか!?きっと裏があるに決まっとる。
まずは全部聞いてからや…今回は、とりあえず行ってみようなんてことは絶対にせえへんからな。」

「私、相当嫌われてしまったようですね?
…けれど思い出してください。第一の被害者は【私】だったことを…そうして、加害者は…故意で無かったとはいえ…夫なのです。」

 そう言ったまま俯き下を向く美沙。

「やっぱりな…けど故意ではないって、どういうことや!?」

 美沙の言葉に一同が驚きの表情を見せる。

「それは、今回お願いしたい内容とも関わってきますので、順を追ってご説明致します。」

「よし、分かった。…と、とりあえず、話の続きを聞こか?」

 ベルはそう言ってテーブルの上に腰をおろした。

「お茶が入りましたぁ♪」

 タイミングが良いのか悪いのか、メアリーが給湯室から出て来る。

「さぁみなさん、今お持ちしまっ…たったった…!!

 器用にもメアリーは何も無いフラットな床で足を躓き片足でケンケンをするように進む。

「あぁっ!このままじゃ窓にぶつかる!シェ、シェリーさん!その窓開けて!!」

え…ま、窓!?あ、うんっ!

(ガラッ)

 メアリーの火急を要する声に、咄嗟に窓を開けたシェリーだったが、その窓は人が出入りするためのものではなく、腰から下は壁になっているものだった。

ぶ、ぶつかる!

 シェリーが叫ぶが、メアリーはトレイを開いた窓から突き出し、体は壁をすり抜けてケンケンのまま外へ出て行ってしまった。

 …僅かの間、沈黙が生まれる…

「……じゃ、話を続けてくれるか?」

 毎度の事にベルは何事も無かったかのような態度で話を進める。

「あ…はい。夫の居場所ですが、恐らくは【鬼押出し園】付近のホテルに宿泊していると思うんです。」

「鬼押し…って、リドルじゃないんか!?」

(…かしゃっ)

 窓の外から何かが割れる音が聞こえたが、一同はそのまま話を続ける。

「ええ…これを見て頂けますか?」

 そう言って美沙がバッグから取り出したメモ帳のようなものをベルに手渡す。
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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:7 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2008-11-21 Fri 23:18 | | [ 編集]
華麗にスルーされるメアリーが楽しいです(笑)ボケの人が多いから、ツッコミのベルは大変ですね(笑)
これからまたどんな展開になっていくのか楽しみです♪続きもまた読みに来ますねー!
読むの遅くてすみません、ゆっくりじっくり楽しませて頂いております^^
2009-07-14 Tue 13:05 | URL | 神田夏美 [ 編集]
もはや【天丼ネタ】では済まないくらいのメアリーのボケ…いちいちツッコんでられなかったのでしょうね^^;

読むの…遅くなんかないですよ~♪むしろ、色々忙しい中、わざわざこんな辺鄙なところまで足を運んで下さった上にコメントまで頂いて…本当にありがとうございます<(_ _)>

自分の作品にコメントが付いてると、それだけで一日がハッピーになります(*/∇\*)キャ
私もまた遊びに行きますよっ♪
2009-07-14 Tue 18:07 | URL | rum_bulion [ 編集]
やっとここまで来ましたヾ( ゚д゚)ノ゛ハァァァァァ・・・・・・・!

これから、コメントは残さなくとも、拍手はしていますので、拍手履歴見て、「あ、押してるッ!」って思ったら、そこまで進んでると思っていただけたら幸いです(^^ゞ

っていうか、それまで忘れてポチッとしてない事もあって、その節はスミマセン(_ _(--;(_ _(--;
「次っ!次っ!」となってしまい、「あ、忘れた」みたいな(笑)
rum_bulion さまもいつも拍手、ありがとうございます!!たいへん励みになっておりますm(__)m

続きはまた明日ですが、楽しみにしてますよ~♪
2009-07-19 Sun 12:55 | URL | 鷹の爪痕 [ 編集]
読むのに夢中になってしまうと、拍手を忘れてしまうコト…私も多々あります^^;

拙作ですが、これからもごゆっくり楽しんで頂ければ幸いです。
もしも余裕があった時には是非コメントもよろしくです(*ノノ)キャ
2009-07-19 Sun 13:05 | URL | rum_bulion [ 編集]
メアリー無視されてますね・・・というか、スル―ですね・・可哀そうに・・ていうか、それ以前にメアリー、ケンケンで来るなッ!ツッコミどこ満載なメアリーですね・・・でも、そんなメアリーがいいっ!!メアリーに一票入れときました☆(笑)
2009-10-05 Mon 18:56 | URL | れもん [ 編集]
メアリーをお気に入り頂き、ありがとうございます^^

当初、レギュラーメンバーの中では、比較的脇役に近い設定だった彼女ですが、今では【はみぱん】に必要不可欠な存在になってしまいました^^;

ちなみにケンケンは、躓いた勢いでそうなってしまったのですが、私の表現力不足でしたね…すみません<(_ _)>

これからも「シンプルで笑えるお話」を書きたいと思っていますので、メアリー共々、【はみぱん】を宜しくお願い致します<(_ _)>
2009-10-06 Tue 19:52 | URL | rum_bulion [ 編集]

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