空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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はみぱんTwo ~035~

 王の詠唱が終わった刹那!いつの間にか暗雲によって星の見えなくなっていた窓の外で、茨の様な雷が天空を駆け巡ったかと思うと、轟音と共に窓の外が眩い光で真っ白になる。

(バチバチィッ!)

 ベル達はあまりの眩しさに目がくらむ…やがて数秒後、視力が戻るとそこには雷(いかずち)で出来た刀身のロングソードを持つバリオン王が立っていた。

「お…おおおぉぉぉ…」

 ジンが思わず感嘆の声を上げる…バチバチと音を立てながら揺らぐ刀身に魅入られ、吸い寄せられるようにバリオン王へ近づく。

「あまり近づかない方が良いぞ?…この剣は生きている。迂闊に近寄り、雷撃に抱擁されても責任はとれんからな」

 その言葉に、慌てて後ずさるジン…バリオン王は軽く頷くと、自分の目の前で静かに剣を鞘へと戻した。
 すると一部始終を見ていたベルが、剣のある一部分を見るなり大声を出す。

「ちょっ…ちょっと待ちぃ!…そ、それ…よく見せてんか?」

 ベルの声にバリオン王は剣をしまう動作を止めた…そこへぱたぱたとベルがやって来て、剣の柄の部分をまじまじと見る。

「こ…この宝石は…まさか…」

 簡素に装飾された鍔(つば)の部分に埋め込まれた、透明だが黒真珠の様に深い闇のような紫色をした宝石に見入りながら思わずベルは呟いた。

「ん?ああ…【ダーク・リヴァーベレイト】だが…」

 戸惑いの表情で答えるバリオン王…刹那、ベルの声が廊下に木霊する。

「おぉぉ~~~~!希少価値が高すぎて、もはや手に入らんと思ってた闇響石がこないな所で手に入るとは!これはウチがラムを元に戻す為に探してた魔法グッズの一つなんや!…事務所へ戻って少し調べ物をせなあかんけど、ラム!もしかしたらお前…ミスティを捕まえんでも、元に戻れるかも知れへんで!?」

「本当か!?」

 一同が同時に驚きの声を上げる。

「ま…まぁ、ウチの記憶が正しければやけど…いずれにしろ、事務所へ戻って魔法書をひっくり返してみるわ!…っと、ラム?」

 一人だけ浮かない表情で俯くラム…しかし、やがて顔を上げると無理やり笑顔を作る。

「ベル、ありがとう。…そうだよね?みんな、ラムが元通りになれる様に頑張ってくれてるんだよね?
うん…ラムもラムの中にいるラムとお話ができる様に、頑張ってみるよ」

 明らかな作り笑顔…今言葉を発しているラムは、元に戻った際には消失してしまうかもしれないのだ…そんな彼女の痛々しげな言葉に、一同は言葉を無くす。

「きゅ~ん!ほら、ベル!事務所へ戻ろうよ。パ…パ、やっぱりこの剣は借りておくね?…きっと、返す時には堂々と『パパ』って呼べる姿で返せると思う…」

「…ラム…」

 明らかに精一杯の虚勢を張っているラムに…声をかけてはみたものの、誰一人としてそれ以上の言葉をかけてやれる者はいなかった。

「そうだ!…ラム、おしっこ忘れてた!」

 重苦しくなった雰囲気を和らげたのは…彼女自身であった。

「それじゃあ…元気でね?パ……」

 父親に投げかけられた言葉の最後は、聞き取れないくらい小さなもので…言い終えるかどうかという所で彼女は振り向き、廊下を小走りで走って行く。
 その姿を目で追いながら、ベルが口を開いた。

「…最初はホンマに『申し訳ない』言う気持ちでラムと暮らしていたんや…けど、今じゃラムは【紛れもないウチらの家族】や…もうラムと離れるなんて考えられへんけど、ラムに戻るべき所があるなら…そこで幸せになれるんやったら…」

 そこで一度言葉を切り、バリオン王へ向き直るベル。

「けど、あの状態じゃラムを返すわけにはいかへん!…ウチらは引き続きラムを元の姿に戻せるよう、努力するわ。けど、そっちかてラムの居場所を…ちゃんと用意しておかな許さへんで!?」

 バリオン王は、無言で深々と頭を下げる…それは、王としてではなく【一人の父親】としてのものだった事はその場の誰もが理解した。
 ゆっくりと頭を上げたバリオン王は、そのまま静かに会場へと消えて行った。

     ・
     ・
     ・

(ぱたん…)

 トイレのドアが閉まる…中にはラムが一人、洗面台の前で今にも零れ落ちそうな涙をためたまま鏡の向こうの自分自身を見つめている。

「あたしは…ラム。半獣半人のラム…ダークエルフのお姫様《ラム・バリオン》じゃない…あなたは、ずっとあたしの中で『おうちに帰りたい』って叫んでいたの?」

 堰を切ったように、それまで抑えていた涙が溢れ…ラムの頬を伝う。

「ぅ…ひっく…あたしは…あたしはぁ!
ジン達が好き!…みんなあたしの為に…あたしを元の姿に戻そうと頑張ってくれてるの!
…けど、そうしたら…あたしは消えちゃうの!?あたしは…ジンやベル…シェリー達みんなを忘れちゃうなんてイヤだよぉ!!」

 鏡の向こうのラムは何も答えず…やがてその姿を滲ませて行く…堪え切れなくなった彼女は洗面台に突っ伏し、号泣する。

「…ねぇ!ラム!!答えてよぉ!…うわあぁぁ~~~ん!


 ベルモット探偵事務所内では、今まで誰ひとりとしてラムの泣き顔を見た者はいない…彼女はいつもとぼけた顔で、仲間達と一緒に笑っていた…
 しかし今、彼女はその身を引き裂かれそうな感情に包まれ、ただただ…ひたすらに泣き続ける。


…と、そこへ廊下を歩いて来る影が一つ。
 その影は、【清掃中】と書かれた立て札を吸盤から離しトイレの入り口にそっと置くと、再び厨房へと歩いて行った…


←どばーっ (┬┬_┬┬) ってなっちゃいながらアップした作者に同情頂けましたら…
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はみぱん | コメント:4 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

らあああああああああむぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!
んもう、私、ラムの傍にいます!!!
ラムの傍に居続けます!!!
だから泣かないでラムぅぅぅぅぅぅぅっ!

はぁ……はぁ……
いつもののほほんとした、ラムとのギャップに萌えますね……ッ!
清掃中の札を掛けたのが誰なのか……それも気になります!!
2009-11-17 Tue 20:17 | URL | 筱 [ 編集]
ナナ姐さんの心使いが身に沁みるぜ。チクショーイ…

自分の気持ちに決着をつける事ができるのは自分だけなワケで。ラムちゃんには頑張って乗り越えてもらいたいです。
どんな結論を出すにせよ、背中をそっと押してくれる家族が傍にいるのですから…。
2009-11-17 Tue 22:28 | URL | 7C林檎 [ 編集]
★筱さん
ありがとうございます<(_ _)>
ラムのふさふさの髪をくしゃくしゃに撫でて、慰めてやって下さい(´;ェ;`)ウゥ・・・
…ただ、その後の食費がすごいコトになりますよ[壁]_・)チラッ

>清掃中の札を掛けたのが誰なのか…
あぅ><分り辛かったですか?
もう少し微妙な表現力に磨きをかけねばφ(。。;)メモメモ

さて、次回からは【いつものはみぱん】に戻るかと思いますが…いよいよストックが…誰か私のストックしりませんか?(┯_┯) ウルルルルル
2009-11-17 Tue 22:30 | URL | rum_bulion [ 編集]
★ななちゃ
筱さんへのコメレスしたら、いつのまにかななちゃのコメがっ!?Σ

>ナナ姐さんの心使いが身に沁みるぜ。チクショーイ…
(;゜ロ゜)ハッ…ナナだけでなく、ななちゃまで江戸っ子にっ!?

>自分の気持ちに決着をつける事ができるのは自分だけ…
…そうですね~。
ナナも安易に声を掛ける事を選択しなかったのかもしれませんね?
タコのくせに、結構いい奴なんでしょうか…(;^_^A

そうそう…ななちゃ、私のストックどっかで見かけなかった?どばーっ (┬┬_┬┬)
2009-11-17 Tue 22:41 | URL | rum_bulion [ 編集]

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