空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from Pandora’s box ~010

事務所へと戻った一行は、各々順番に風呂に入っていた。

今はラムとシェリーが一緒に入っており、時折きゃっきゃと騒ぐ声がする。

「しかし、アレは一体何だったんだろうな?」

 そう言いながらジンがソファーに身を投げ出し、誰とはなしに呟く。

「そうやな…あんなん今までリドルじゃ見たこともないで…」

 カップ型のミルクピッチャーに入った紅茶に口をつけながら、ベルが言う。

「…まあ、虫や小動物を捕らえて栄養にする植物ならあるけどね?
さっきベルが摘んだ【フランシーヌ】って花も、肉に似た臭いに誘われた犬なんかの動物にわざと花を食べさせて殺し、その腐乱した犬の死骸で自分の周りの土壌を豊かにするって植物だしね?」

 バスローブをまといタオルで髪を束ねたネイは、それまで壁にかけてある姿見に自分を映していたが、ジンの方に歩み寄ると、彼の隣に腰掛けた…彼女からはほんのりとした石鹸の香りが漂っている。

「けど正直なところ、私は最初、あの美沙が仕組んだものだと思っていたのよ。」

「ど、どういうことや!?」

 ベルは驚き、振り向いた。

「まずは最初に女性を連れて行きたがったでしょう?確かに理由は納得の行くものだけど、ベルでも良かったわけよね?」

「そうだよな…けどベルは妖精だし、美沙はディジェネだろ?
リドルのモンスターの類にはまだ慣れてなかったのかも知れないし、なにしろベルはあの性格だから…【女性らしい女性】が良かったんじゃないか?」

誰がモンスターや!

 ベルはつかつかとテーブルの上をジンの方へ歩み寄りハリセンを振り下ろす…が、ジンは間一髪でそれを受け止める。

ネイもそれを気に留めず話を続けた。

「確かにそういった偏見はあるかも知れないわね?
けど、あの植物が燃やされているのを見て、慌てて水をかけたでしょう?」

「…そ、そういえばそうだな。
けどあれも、自分の家の真横でメラメラと炎が上がっていれば、誰でも消そうとするんじゃ…」

 ハリセンが不発に終わったベルはジンの肩に乗り、彼の耳を引っ張る。
ジンはそれを引き剥がそうとしながら言葉を返す。

「そうなのよ…確かにどちらもジンの言うとおり、説明のつく行動ではあるのよね。
…で、最後にした私の質問なんだけど、彼女の答えは私の期待したものじゃなかった。」

「質問?…何か美沙と話してたっけか?」

 ネイが帰り際に美沙と交わした会話を、ジンはまるきり覚えていなかったようだ。

「ええ…私もなるべく違和感の無いように、雑談っぽく話を切り出したんだけど…」

「ああ、庭の話やな?」

 ジンの首に足を絡ませ、ぎゅうぎゅうと締め付けながらベルが答えた。

「そう。良く聞いて?推理と言えるかどうか分からないけど、私はこう思ったの。
 まず、美沙は元々科学者か、またはその助手をやっていたはず。
こっちの世界でも良くあるけど、同じ職場で働いているうちに恋心が芽生えた…所謂職場結婚をしたんでしょうね。
 そうして、美沙は退職して家に入った。
多分ここまでは間違いないはずよ?…彼女の家のリビングに飾ってあった写真に、白衣を着た二人の写真があったし…随分と埃を被っているようだったけど。」

「うぐ、苦し…そ、それで?」

 話を聞きながらもジンはまだベルと格闘している。

「その後…いえ、その前かも知れないけれど、ディジェネとリドルランドが繋がり、科学者にチャンスが巡って来たのよ。
そうして二人は、研究に便利なスピリット山麓へ引っ越した…美沙は突然見知らぬ土地の、まして誰も住んでいないような山の麓で毎日ご主人の帰りだけを待つ…退屈でしょうね?
 そんなある日、買出しに出た町中の花屋で見たことも無い花を見つけ、それに惹かれていった。」

「それがガーデニングのきっかけってこっちゃな?」

 ベルは満足したのか疲れたのか、ジンから離れ、飲みかけの紅茶を口にする。

「けれど選んだ花が問題よ。
確かに知らない人間にはただの綺麗な花々だけど、あそこにあった花はどれもただの花ではなかったでしょう?」

「っぷふぅ…それが故意に選んだ花…?」

 やっとベルに解放されたジンは、大きなため息を一つついた。

「そう思ったの…最初はね?
そしてその花々を使った研究の成果が、あの不思議な蔓植物…けど過ぎた詮索だったらしいわ。
マカツァーヴァは球根類だし、フランシーヌも低木類で蔓植物ではないから、庭の花々をどういじってもあんな植物は出来ないと思うし…最初にここへ来た時もわざわざ自分が襲われたフリをしなくても、いくらでも誘い出す方法はあったはず…それに、帰りがけに私とした会話も【ただのガーデニング好きの主婦】の会話だったしね?
恐らく、あの笑顔に裏は無いと思うわ。」

 ベルはテーブルに座り込んで腕を組み、大きく頷いた。

「さすがネイやな!ウチもそこまでは考えられへんかったけど、言われてみればその通りや!
…けど、そうするとあの植物はなんやったんやろ…」

 ネイが両手を開き肩をすくめる。

「さあね。それはなんとも言えないけど、アレはリドルにも…勿論ディジェネの世界にも無かった、所謂【新種】でしょうね。それが、科学者の敷地にいたってことは…」

旦那の方か!

 拳を握り、ジンが身を乗り出す。

「そこまで結論付けるのはどうかと思うけど否定する要因はないわね。
現時点じゃ、ご主人の情報が少なすぎて…今分かっているのは、リドルの鉱石を研究している熱心な科学者で、結婚はしているけど仕事を優先するタイプ…というより仕事以外に興味が無いのかしらね。
結婚指輪も随分前からしてなかったようだし、眼鏡の蔓も壊れたのをテープで止めたまま直していないようだったしね?」

「へぇ…あんな短時間で、良くそこまで見てるな。」

 ジンが感心した表情でネイを見つめる。

「あら、ジン…私に惚れ直した?」

 ネイが肩越しにウインクをする。

「どどど…ど、どうしてそういう話になるんだ?
ととと…とにかく、もう依頼は終わったんだし、これ以上詮索してもしょうがないだろ?」

 擦り寄るネイから後ずさりながらジンが言った。

「せやな!金にならん話はもうやめや。
明日からまたきっちり働かんと、食っていけへんで!?」

 ベルがそう言って大きく背伸びをすると、奥が騒がしいのに気付いた。

(バタバタバタ・・・)

「お姉ちゃ~ん!ラムがボクの胸を舐めるんだよぉ!」

 シェリーがバスタオル一枚の格好で事務所に飛び込んできた…体はまだびしょびしょに濡れている。

「だってシェリー、胸に怪我してたから…」

 シェリーの後ろから、申し訳なさそうにラムが顔を覗かせる…彼女は裸のままである。
 ネイはシェリーに歩み寄ると、彼女の肩に手を沿えて優しく語りかける。

「ほら、ここの所…さっきの蔓で切ったんでしょう?ラムにはヒーリングが使えるから、傷を治してくれようとしたんじゃない?」

「だけど、舐めなくっても…何だかくすぐったくて…」

 姉を見上げながら、シェリーはすねた顔を見せる。

「シェリー、ラムのヒーリングはな、手でも出来んねんけど舐めてもろうた方が良く効くねん。
ラムはシェリーが好きやから、早く治って欲しかったんちゃうか?」

 ぱたぱたと飛んできたベルがネイの肩に降りると、彼女の言葉を補足する。

「だけど…だけど胸だよ?恥ずかしいモン。」

「まあ…せやな。じゃあラム、改めてシェリーに手でヒーリングしたってくれるか?」

「うん!任せて!!」

 自信に満ちた笑顔でラムは勢い良く頷くとシェリーの前に立ち、そっと彼女の胸に手を沿えた。
 その途端ぽわっと手のひらから暖かな光が生まれ、シェリーの小さな乳房を照らす。
 そうして数十秒後にはどこに傷があったのかも分からない程になっていた。

「…どう?」

 シェリーの胸を照らしていた光が弱まり、ラムが首をかしげて聞く。

「あ…ありが…と。」

 頭では理解したものの、まだ照れが残っているのかシェリーの返事にはぎこちなさが残っていた。

「…へ、へくしっ!」

 ほっとしたラムが大きなくしゃみをする。

「ほら、濡れたまんまでいると風邪ひくで?もう一度よ~く暖まってきぃ。」

 ベルが二人を促す。

「うん…行こ、ラム」

 そう答えてシェリーはラムの手を取ろうとした…しかしそこでラムはまるで犬がするように、体をぶるるんっと震わせ、周りに飛沫を撒き散らす。

きゃあ!冷たっ!

「こらラム!それは事務所の中でするなっていつも言うとるやろ!?」

 その場に笑い声が生まれ、取り戻されたつかの間の平和を二つの満月がいつまでも照らしていた。
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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:8 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

こちらでは初めまして!筱です。

ベル…ベルが好きです…ッ!!
ちょっと黒そうな美沙にも愛着が…。
魅力的で個性的なキャラが多く、読んでいてとても面白いです!

遅いながらも、のんびり読んでいきたいと思います!
早く追いつかなきゃ(*´ω`*)
2009-06-14 Sun 10:23 | URL | 筱 [ 編集]
コメありがとうですっ( ┰_┰)
ベル…なんでか人気があるみたいですね~^^
次は【ラムのお散歩】って感じのショートでも書こうかと思っていたのですが、急遽ベルに差し替え!?^^
ともあれ、私の創り出したキャラを「好き」って言って貰えるのは、ホントにありがたいです<(_ _)>
P.S. ベタかもしれませんが、私【シエル】が可愛くてたまりませんわ(*/∇\*)キャ
2009-06-14 Sun 14:12 | URL | rum_bulion [ 編集]
女性陣いいですねー!途中の素敵すぎる展開にうはうはしながら読ませて頂きました(←変態)

私は特にネイが好きですね~、ジンが羨ましいです……!あとベルも可愛いです。関西弁ではっちゃけてて……いいです!
魅力的なキャラ、面白いストーリーですごく読みやすいです。続きもまた読みにきますねー!
2009-07-11 Sat 12:06 | URL | 神田夏美 [ 編集]
変態!?…(*  ̄)人( ̄ *) ナカマッ

ネイですか~^^
自分の創ったキャラ達はみんなお気に入りなのですが、ネイは設定の際に「こんな、リードしてくれそうな(Σなにを?)お姉様がいたらえぇなぁ…」なんて思いで創った記憶があります(*ノノ)キャ

私もまたお邪魔させて頂きます~♪
2009-07-11 Sat 12:23 | URL | rum_bulion [ 編集]
こんばんは。
コメディータッチで、のりがよくて面白いです。
各キャラが生き生きしてますね。
また続き読んだら感想書いてきます。
では。
2009-07-19 Sun 02:01 | URL | なみなみ [ 編集]
面白いブログを書く方に【面白い】なんて言われ…「面白いって言う方が面白いんだよっ(Σ違っ
すみません、嬉しさのあまりテンションが妙な方向に…(;^_^A

しかし、【笑い】という意味ではなみなみさんはダントツです!!
これからも勉強させて頂きにお邪魔します♪

あわよくばベルのツッコミに「このセリフの方がええで?」なんてご指導頂けたら最高なんですが(…本気ですよ?^^;
2009-07-19 Sun 10:22 | URL | rum_bulion [ 編集]
こんばんは、僕は今ここです。
自分の文章力のなさを感じざるをえません。
でもまあ無理して背伸びする必要もないのかな。
まずはラムさん達のようにひとつの作品を書き終われるようにがんばります。
美沙悪い人?気になる…
2009-08-08 Sat 22:48 | URL | モールエイジ [ 編集]
私も、色々な方の所へお邪魔すると…自分の未熟さを痛感する事がよくあります><
【同じような文章を書いていても素敵な言い回しが出来る方】や【構成がしっかりしていて、素敵なショートをかく方】など…挙げればきりがありませんが…^^;
勿論、モールエイジさんの絵と文章をコラボしたスタンスにも衝撃を覚えました(*/∇\*)キャ
お互い頑張りましょうね~p(´∇`)q ファイトォ~♪

P.S. 美沙が善い人か悪い人か…(ΦωΦ)ふふふ…いずれにせよ、気になって頂けれたのなら本望です♪
2009-08-08 Sat 23:51 | URL | rum_bulion [ 編集]

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