空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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はみぱんTwo ~027~

リドルランドの城下町に、ひと際目立つ煉瓦造りの建築物…それは幾つもの魔法の炎で照らし出され、幻想的に揺らめき建っていた。
門の脇には、リドル語で【ダイアナ】と書かれているが、ディジェネの観光客用なのか、横に漢字で【大穴】と書かれた看板も見受けられる。

「久しぶりに来たけど、やっぱりこの店はディナーに限るなぁ…めちゃくちゃ綺麗じゃん?」

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました…お席をご用意しておりますので、こちらへどうぞ」

 ジン達が建物を見上げながら店内へ入ると、ギャルソンらしい服を着た…【タコ】が出迎える。

「うわっ!?…タ…タ…コ?」

 深々と礼をしている巨大なタコは…黒いスーツ姿で襟からまん丸い頭を出し、スーツの両足から各2本…足を出して立っており、上半身はベストを着用してはいるものの、何故か半袖のシャツを着て袖からはうねうねと数本の足を覗かせている。
それでも一応二足歩行しているタコは…遠目には【禿げたギャルソン】に見えなくも…いや、見えないであろう。

「さ…上着などをお預かりいたしましょう」

 手慣れた手つきでメアリーのバッグなどを吸盤に吸いつけて預かって行くタコ…一同は戸惑いながらも恐る恐る携帯品などを預ける。

「ま…まぁ、この店で働いているタコなんだから…大丈夫だろう」

「せ…せやな。ここで雇ってもらうのは、相当な経験と実力が必要やて聞いた事あるしな」

 ジンとベルは小声で話していたのだが、タコには聞えてしまっていたようだった。

「申し訳ございません。…私、エド前で寿司屋をやっていた頃から、『いつかここで働きたい』 というのが夢だったのです…もしもお客様が不快な思いをされるのでしたら、担当を別の者と代わりますが…」

 タコは『またか』といった落胆の表情で、ジンを窺っている。

「え?…ぁ、いやいや、ちょっとびっくりしちゃっただけで、そんな…代わるコトなんかないってば!」

「せやせや!…エ、エド前ゆ~たらリドルランドでも【ビッグ・エド】の時代から寿司で有名やないか…余計ディナーが楽しみになってきたわ」

 ジンとベルは慌てて両手をぷるぷると振る。

「ありがとうございます!…しかし私はまだ厨房には立たせて頂けないので、寿司はお出しできないと思いますが…あ、申し遅れました、私ギャルソンの《ナナ》と申します。今宵は皆様がご満足頂けるようなひと時をご提供できるよう、お手伝いをさせて頂きます」

 交代の必要がなくなった喜びからか、ナナの表情は明るくなり、言葉数も増えたように感じた。

「…どうぞ」

 ナナの勧めで一同が席に着くと、先程からずっとナナを見つめていたメアリーが口を開く。

「ひとつお聞きしてもよろしいですかぁ?…ナナさん、足の数が足りないように見えますが…」

 メアリーのセリフに、一同はナナに注目する。
 ナナはスーツのズボンから各2本ずつ、上着の袖から各2…いや、左袖からは足が1本しか出ていない。

「ホンマや…ひぃ、ふぅ、みぃ…7本。1本足らんくないか?」

 するとナナは愁いを帯びた表情で俯き、ゆっくりと口を開く。

「そうですか…気付いてしまいましたか…私は常連さんの髪の毛が5~6本抜けていても気付かないのに…」

そらそやろっ!…髪ぃ数本と腕1本じゃ、えらい違いや!」

 思わずベルが立ち上がって突っ込みを入れた。

「…お客様が聞きたいと仰るのなら、申し上げますが…」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。これから飯食うのに、あまり重い話なら…変なコト聞いたのは謝るし…」

「いえ、聞いて下さい…実は…」

 勿体ぶったナナの口調に、話を止めようとしたジンも思わずゴクリと喉を鳴らす。
 話を振った当の本人《メアリー》は、既に興味がなくなったのか、ボールで手を洗っている。
 ちなみにその横ではラムがボールに入った水をぺろぺろと飲み始めた。

「そそ…そんなに体を乗り出してまで聞いて頂くような話じゃないです!
 ただ、少し前に予約のお客様で【タコス】をご所望の方がいらっしゃいまして…私の手違いで厨房へそれを伝え忘れていたのです。
 それで、『材料が足りない』と騒ぎになりまして…責任を感じた私が『タコならこれをお使い下さい』と…厨房にあった包丁で腕をばっさりと…きゃ~!すみません、こんな話をしてしまって…もう、壺があったら入りたいですぅ!」

「それは生まれついての習性やろっ!」

 ナナは一瞬吸盤の付いた腕で顔を覆って照れていたが、やがて左肩を慈しむような瞳で眺めながら、それをさすりだす。
後悔よりも、むしろその時の自分の行動に誇りを感じているようだった。
 それを見ていたベル達は、尊敬と憐れみの入り混じった表情でナナを見つめていた…が、やがて一つの疑問が生じる…

「ちょっ…ちょい待ちぃ…え~と…タコスは、タコスやんな?…タコ酢ちゃうやんな?」

「私もかつては板前だった女ですよ?…タコスがどういう物かは知りませんでしたが、タコ酢じゃない事はご予約の時点でちゃんと確認していました」

 ジンとベルは気まずそうな表情で顔を見合わせる。

(なぁ…タコスにタコって入ってたっけ?)

(いや…ウチの知る限り、そんなん見た事ないわ)

(彼女…もしかしてメアリーを凌ぐ天然なのか?)

(せやな…むしろ行動が熱い分、余計性質(タチ)が悪いかも知れんな)


「あっ!?お客様、ソレは飲む為のものではございません!」

 やっとラムの行動に気付いたナナが、彼女へ丁寧に説明を始める…その口調に全く嫌味はなく、ラムも素直に耳を傾けている。

(ま…タコスの件はこれ以上触れんとこ…事実を知ったら、とんでもない事になるで?)

(うんうん…そうだな。しかし、彼女…なんでここで働けているんだろうな?)

 ベルがジンの肩の上に乗り、お互いに耳打ちを続けている。

(せやなぁ…余程料理の腕前を見込まれてるんちゃうか?)

「お客様、どうなさいました?」

 ナナを見つめながら話しこんでいるジンとベルの様子に気付いた彼女は、笑顔でジン達へ問いかける。

「あ!…いやいや、何でもないねん。そそそ…それより、食事の方を進めてくれへんか?ウチらもうハラペコやねん…あ、あははっ♪」

「申し訳ありませんでした。では、早速コースの方をお持ち致します」

 そう言ってナナは一旦下がって行った。
 何とかごまかす事が出来たベル達は大きくため息をつくと、気を取り直し久しぶりのごちそうを待つことにした。


←「ギャルソンって男じゃ?」など、突っ込みどころ満載の今回は…コース料理を口にする機会が皆無な作者故です><
【選択肢⇒1.rumにディナーをごちそうする。 2.ぽちで我慢させておく。】
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はみぱん | コメント:6 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

ぽち。

タコのマリネが食べたくなりましたw
2009-10-23 Fri 20:00 | URL | 7C林檎 [ 編集]
あぅ…2.を選択したのですね?( ┰_┰) シクシク
誰か1.を選択して頂ける方はいないかしらぁ~(」°ロ°)」

…なんちゃって♪
いつもありがとです<(_ _)>

>タコのマリネが食べたくなりましたw
Σ(ノ゜⊿゜)ノえぇ!?ナナの腕をまた1本減らす気ですかっ!?
2009-10-23 Fri 21:29 | URL | rum_bulion [ 編集]
ナナちゃん……自己犠牲って言葉がまさに当てはまる子なのですね……。
なんて健気なのでしょう(汗)

こそこそこそこそ喋るジンとベルの会話が面白かったです(笑)
話しを振っておきながら、さっさと興味を無くすメアリーは
相変わらず最高ですね!

続き、期待して待ってます(*´д`)
2009-10-24 Sat 12:55 | URL | 筱 [ 編集]
ナナ…健気と言うか、既に【痛い】ところまでイっちゃってるようです><

どうして【はみぱん】にはこんなキャラばかりが登場するのでしょうね…(;゜ロ゜)ハッ…私がヴォケだから?…私のせいなのね?(´;ェ;`)ウゥ・・・

メアリーもゴーイングマイウェイですねぇ^^;
けど、楽しく読んで頂けたなら…それで十分です^^
2009-10-24 Sat 16:52 | URL | rum_bulion [ 編集]
また面白いキャラを…(笑)
一体どうしたらこんなにも面白いキャラが思いつくんでしょう(^^ゞ

rum_bulion さまにかかったら、食べ物すらも面白キャラになってしまうのですね(*^ー゚)b グッジョブ!!

タコ…タコ…あぁ、そういえば最近食べてないですねぇ…じゅる

2009-10-26 Mon 11:36 | URL | 鷹の爪痕 [ 編集]
>一体どうしたらこんなにも面白いキャラが…
ありがとうございます^^;
それは…実はですねぇ…「私自身が変人だから」ではないでしょうか?(*ノェノ)キャー

>タコ…タコ…あぁ、そういえば最近食べてないですねぇ…
(((p(>o<)q)))いやぁぁぁ!!!鷹の爪痕さんまで、ナナの足を減らそうとしてるぅ~どばーっ (┬┬_┬┬)
2009-10-26 Mon 22:52 | URL | rum_bulion [ 編集]

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