空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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はみぱんTwo ~016~

「ほれ、あそこがウチらの事務所や」

 ベルが指を指し、増田に声をかけた瞬間、事務所の電気が点いた。

「ん?電気が…あぁ、丁度ラムが帰ったのかな?」

(ッバタン!)

 ジンがそう呟いた瞬間、裏口のドアが壊れるほど勢い良く開き、黒い影が辺りをかけずり回っている。

「ジィ~~~ン!…ベェ~~~ルゥ~~~!!」

 影はやはりラムだった。
 ラムはくんくんと鼻を空へ向けてヒクつかせると、何かに気付き、まっしぐらにこちらへ向かって走って来る。

「ベェ~~ル~~。もう!ラムを置いて、ゴチソウを食べに行っちゃったのかと思ったよ!」

「そんな恐ろしい事するわけないやろ。ラムを置いて飯なんか行ってもうたら…おぉ怖っ!恐ろしくて想像もでけへんて」

 ベルは冗談交じりに、半分笑顔で身震いするジェスチャーをした。

「きゅぅん…じゃ、ご飯行こ!…ごっはっん~~♪

「はは…そうせくなや。ウチらもちょっと一仕事して来てんから、着替えくらいさせてぇな」

 ラムは残念そうに肩を落とす…直後、見知らぬ人間に気付いて怪訝そうな顔で臭いを嗅ぐ。

「あぁ…ラム。覚えてるかどうか分からんけど、そいつは以前の依頼人の家族だったヤツや。暫く事務所に住む事になったから、宜しく頼むわ」

 記憶を辿るような仕草で臭いを嗅いでいたラム。
 思い当たる臭いに、一瞬眉間に皺を寄せ低い唸り声を上げたが、踵を返すと【食事の舞い】らしきものを踊りながら意気揚々と事務所へと入って行った。

「うぅ…もごもごぉ!?…まだ開けてくれないんでキュか!?」

 ラムを先頭に、全員が事務所へと入ると…何やら大きめのスポーツバッグがもぞもぞと動いていた。

「何やソレ!?…また何かややこしい拾いモンでもしてきたんちゃうやろな?」

きゃうっ!?忘れてたぁ…ラムもお客さんがいるんだった!」

 慌てて不器用そうな手でバッグのジッパーを開けるラム。

「っぷはっ!」

 そこから勢い良く飛び出してきたのは、黒いマントにシルクハット…まるでマジシャンの様な格好をした、どうみても小学生くらいの女の子であった。

「ふぅ…疲れたでキュ!…ここがワンちゃんの言う事務所でキュか…なんだか冴えないところでキュねぇ」

 大きく伸びをした後、ラジオ体操の様に数回ストレッチをしながら辺りを見回す少女。
 口からはみ出した八重歯がキラリと光る。

「出て来るなり、御挨拶なセリフを吐く子やな…そのナリみると…手品師ってトコか?」

「はい、それじゃまずはこの中から好きなカードを1枚取って、よーく覚えておいて下さい…って、違いまキュ!!
 吸血鬼(バンパイア)一族をバカにしちゃダメでキュ~!」

何処から出したのか、手際良くカードをシャッフルして見せた少女だが、慌ててカードを投げ捨てるとベルに向かって怒りを露わにする。

「あの子、幼そうな割に【ノリ突っ込み】が出来るぞ!?…ってか、吸血鬼(バンパイア)一族ぅ?」

 一同が驚きの声を上げる…その態度に気を良くしたのか、黒衣の少女は全員を一度に見回せる位置へ移動すると、キリリとした表情でマントを翻す。
「あははっ♪…そうでキュ。アタシは【闇の王】の末裔《エリカ》ちゃんでキュッ!闇の中で生まれ、闇と共に生き…人々が古の昔から闇に恐怖と畏怖の念を抱くのは、我々の存在故…そう、それが吸血鬼(バンパイア)一族でキュー!」

 エリカは自らのセリフと決めポーズに酔いしれたかのような表情で目をつぶっている。
 それを…リドル切っての【くノ一】、二重人格の【魔法剣士】、黄金の毛並みを持つ【合成獣】、関西弁を自在に操る【妖精】達が茫然と見つめていた。

「あ…あら?…そんなに驚いてないでキュね?【闇の王】の末裔…《エリカ》ちゃんでキュよ?」

「あ…あぁ…おぅ…」

(パチ…パチパチ…)

 事務所にまばらな拍手が起こる…それは彼女の【生まれ】云々に対してではなく、彼女の切った【見栄】に対する僅かな賞賛に対するものだった。

「エリカ言うたか…そら、ディジェネでやった方が効果があると思うで?…ウチら【妖精】やなんかを相手に【吸血鬼だ】言われても…はいそうですかとしか言えへんし…」

 そう言うベルの横を、突然カタカタと音を鳴らしながら、飲み物の乗ったトレーがひとりでにテーブルに運ばれて来た。

「いらっしゃいませ。…今日はお客さんが大勢いるんですね…うふ♪

 誰もいないテーブル付近で女性の声が聞こえる。

「メアリー!消えたまま配膳するのはやめぇ言うとろうが!」

「あら…すみません。忘れてました♪」

(すぅっ)

 ベルの眼前で突然メアリーが姿を現したものだから、ベルは反射的に彼女の顔面にハリセンを打ち込む。

(バシィッ!!)

「きゃんっ!?」

 ゆっくりと首だけを回し、エリカへ向かって血まみれでほほ笑むメアリー。

「ささ…冷たいうちに麦茶でもお飲み下さいな♪」

(…にやり)

「…き…きぃぃ~~~ゃああぁぁ~~~~!!」

 泡を吹いて卒倒するエリカ。
 彼女が周りにしてほしかった反応を…奇しくも彼女自身で行ってしまったようである。


←少しでもエリカに同情して頂けたなら…
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テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:2 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

ファンタジー的世界観のスーパースターですよね、吸血鬼v-10
なんか、オバカっぽいですがw

エリカの口上から察するに、闇の貴族然とした一般的イメージの吸血鬼なんでしょうか。
ん?貴族然?既に一般的イメージは破綻してるような?『はみぱんチック』な吸血鬼に、期待大!

余談ですが、田中芳樹の古い新書に、『ウェディング・ドレスに紅いバラ』という短編集があります(新書版は古本屋ですら入手困難ですが、最近今風のイラスト付きで文庫化されたようです)。吸血鬼の男女(と言っても、恋愛成分はほとんど無し)が主役の話なのですが、一般的なイメージを上手に外してあって、面白いです。古臭い言い方ですが、『冒険活劇+コメディ』みたいなのがお嫌いでなければ、ご一読を。
(菊池秀行の『D』シリーズも有名ですが、独特の重さがあるから、気軽には薦められない・・・)
2009-09-27 Sun 21:22 | URL | 7C林檎 [ 編集]
>『冒険活劇+コメディ』
嫌いなワケないじゃないですかo(*^▽^*)oあはっ♪

ただ、元々活字自体を全然読まなかった私(そう、ただのおバカだったのです)が、バンドのボーカルをやるハメになり、必要に駆られてリルケやボードレール…ランボーなどを読み漁り…そこから、元々漫画なんかでは好きだった推理やファンタジーを読むようになったんで、日本人の書いた小説って、殆ど読んでないんです><
(最初に読んだのがめちゃくちゃ駄作だったせいもあるのかもしれませんが…^^;

けど、ななちゃのお勧めなら、今度探してみようかしら?(田中芳樹の『ウェディング・ドレスに紅いバラ』くださいでキュって本屋さんで言えばいいですか?^^;
2009-09-27 Sun 22:45 | URL | rum_bulion [ 編集]

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