空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

Humming from Pandora’s box ~あるいは何かのプロローグ09~

「まったく…怒りっぽくて忘れっぽいなんて…ベル、更年期ってヤツじゃん?」

(ゴゴゴゴゴゴォォォ・・・・・)

 何の気はなしに言ったジンだったが、床から立ち上がるベルのオーラが変わった事に気付き、慌てて訂正しようとする。

「あ…いや、えーと…えーと…お姉さん?」

何のフォローにもなってへんわぁ!…誰が子育てがひと段落してふと気づいたら何もすることがなく茫然としとる主婦やあっ!?」

(ッズバッシィ~~ン!!)

「ぃってぇ~~~。誰もそんな具体的な事言ってないじゃんかぁ…」

「はぁ…はぁ…もう、お前等といると体力使ってしもてかなわんわ…こんなキュートでメルヘンチックな妖精が、逆三体型になってもうたらどないしてくれんねん!」

「は…ぁぅ…」

 何かを口にしようとしたジンだが、賢明にもその言葉は彼の中だけでとどめたようだった。

「ふぅ…ってか、さすがに腹減ったで。ラムはまだ帰らんのかいな?」

 自分で言った【ラム】のセリフに、ベルははっとした表情でメアリーに詰め寄る。

せや、思い出した!ラムや…ラムの事や…メアリー!!あん時、金ラムまであっためる必要はなかったんちゃうか!?
 おかげで岩と一緒に泉の中やんかぁ!!!」

「ベルさん…今頃ですか?…うふ♪

 それとほぼ同時刻…汗だくになりながら色々な物を泉に投げ込む男性二人の叫び声が木霊した。

「泉の精さぁ~~~ん!こんなにいっぱい落し物をしてますよぉ~~~!!早く出てきて下さぁぁ~~~い!!!」

「はぁ…はぁ…おい!もしかしたら落とすものが小さすぎるんじゃないか?…ちょっとお前、バスごと泉に落ちてみてくれないか?」

「な?…何を無茶な…私は嫌ですよ!」

「えぇ~い、私の莫大な利益の為だ。この計画が成功したら、お前には金の墓石を建ててやるから」

「そそそ…そんなのちっとも嬉しくないです…あ、嫌です…ちょっ、押さないで下さい…あ!何エンジン掛けてるんですか…っいやあぁぁぁ~~~!!


 それから数日後、市役所役員2名が【公有水面埋立法違反】で起訴される事件と、比較的都心へ近い国道沿いの銭湯内の水風呂で、入浴客が【金】となって発見される事件が頻発しているとのニュースが流れた。

   ~ Humming from Pandora’s box あるいは何かのプロローグ おわり ~


 - ▲ - ▼ - ▲ - ▼ - ▲ - ▼ - ▲ - ▼ - ▲ - ▼ - ▲ - ▼ -

あとがき :
 え~と…鷹の爪痕さんの所でショートを書くなどと公言してしまいましたが、やはり【ただダラダラと書かれた短めの話】になってしまいました。
 短い文字数の中に言いたい事をすべて詰め込むって、難しいですね(鷹の爪痕さん…スヴァらしすぎます♪
 しかもプロローグと言いながらも、上手い伏線も張れてない気が(どうしようもないな…私><

 ぁ…はぃ…気を取り直して、第2巻についてですが…おおよそのストーリーは出来てます。…出来てますが、前半と後半を上手く繋げる事が出来ず…試行錯誤中です^^;
 第1巻は、殆ど書き上げてから前半をほぼ100%修正するなんて事もしばしばだったので、私の場合【書きながらのアップ】は不可能に近いため、ここでの発表はいつになることやら…(;^_^A アセアセ…
 まぁ、あまり更新が滞るようなら番外編(またか^^;)などは、ちょいちょい差し込んで行きたいと思っていますので…どうか見捨てずにお待ち頂ければ…ペコm(_ _;m)三(m;_ _)mペコ
スポンサーサイト

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:16 | トラックバック:0 |

Humming from Pandora’s box ~あるいは何かのプロローグ08~

「う~~~ん…」

 事務所へ戻ったベルが…メアリーの淹れた、2杯めの紅茶をカップ型のミルクピッチャーですすりながら、何か釈然としない表情を浮かべている。

「ベルさん…どうかしましたか?」

 ついさっきまき散らした紅茶を拭きながら、メアリーがベルに問いかける。

「いや、なんかさっきから引っかかってるモンがあるねんけど…なんやったやろうな…」

「さぁ…なんでしょう?けど、さっきからずっとそんな調子で唸ってますけど…それだけ考えて思い出せないのなら、それほど大切な事じゃないんじゃないですか?…っきゃっ!?

 ベルとの会話に気を取られていたメアリーは、片付けようとしたカップの破片で手を切ってしまい、反射的に引っ込めた手で弾き飛ばされた破片が、彼女の額にさっくりと刺さっている。

「…またやっちゃいましたぁ…てへっ♪」

ぎぃいぃゃぁぁ~~!!…『てへっ♪』っやないやろ!早くどうにかせいぃっ!!顔中血まみれで屈託のない笑顔すんなやぁっ!!…うはぅあぁっ!?」

 ベルは恐怖の表情で後ずさり…とうとうテーブルの上から転げ落ちた。
 見かねたジンがベルの羽をひょいっと掴み、テーブルの上にすとんと戻してやる。

「ベルもいい加減慣れたらどうだよ…俺なんかむしろ【ブラディ(血まみれの)・メアリー】がデフォに思えてきてるけど…ってか、何だかわからないけど、悩みは解決したワケ?」

「はっ!?…そうや、すっかり忘れとった。…いったい何やろう…このモヤモヤは…」

 テーブルの上で再び腕組みをするベル。

「人の記憶は移ろい易いものですから…忘れたくない記憶は、私のように日記に書いておくと良いですよ?あ…そうそうベルさん、先週お貸しした2万リドル…そろそろお返し頂けますか?…ほら、日記にも書いてあります」

「あぁん?…メアリーから金なんか借りた覚えはないで?…ちょっとその日記見せてみぃ」

 メアリーは日記をパラパラめくると、目的のページを開いたままベルのいるテーブルへ置いた。

「ん~…どれどれ…確かに『先週ベルさんに2万リドル貸した』書いてあるなぁ…ん?これ、今日の日付やないかぃ!普通貸した日に書くやろぉ!?…ってか、殴り書きで明らかに慌てて今書きましたって字体やないかっ!!」

「てへっ♪…バレちゃいましたぁ」

(バシィッ!!)

(っぶっしゅぅ~~)

 はにかんで舌を出した瞬間にベルのハリセンが炸裂したものだから、メアリーは舌を噛み鮮血を辺りにまき散らす。

「痛ひですぅ…危うくベロがちぎれちゃうところでしたよぉ…まぁ、二枚あるから大丈夫ですけど♪」

「二枚舌かぃっ!!」

(スカッ)

 今度のツッコミには、一瞬早くメアリーが透明化出来たようで、ベルは大きなハリセンと共にくるくると床へ落下する。

「冗談です…うふっ♪

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:0 | トラックバック:0 |

Humming from Pandora’s box ~あるいは何かのプロローグ07~

 しばらく歩くと、道端にマイクロバスが止まっているのが目に入ってきた。
 ジン達に気付くと、バスから2人の男が慌てた様子でバタバタと降りてくる。

「お疲れ様でした!…どうでした?」

「あぁ、コイツの事だろ?…見ての通り、依頼は解決!」

 ロープで繋がれて力なく歩くモンスターを、ジンが差し出して見せた。

「おおぉぉ~~~!ありがとうございました。では、約束の謝礼を…」

 モンスターを連れているジンに代わり、ラムが厚みのある封筒を受け取る。
 そこへすさまじい勢いでベルが飛んでくると、封筒の中身を一枚一枚数え始めた。

「…これで【トントン池】は【ガッポリ池】に…」

「しっ!…声がでかい!」


 2人の男達は、何やら小声で会話をしているが、札束を数えるのに夢中になっているベルは全く気付かない。

「よしゃ!約束通り、間違えあらへん!…ほなこのモンスターはリドルに帰しとくから、心配せんでな?」

「はい。ありがとうございました…あれ?行きと比べて人数が増えてませんか?」

 一人の男が、ジン達一行の人数を数え始めた。

「こら!そんな事はどうでもいいだろう。みなさんお疲れなんだ!早く送って差し上げなさい。
…そして我々も一刻も早く…ふふふ

「はっ…そうでした。では、リドルランドの入口までお送り致しますので…」

 男達は顔を見合わせ、クスリと笑みを浮かべた。

「あ…悪いけど、途中で2人程下ろしてもろてええかな?…ちょっとヤボ用があるんでな」

「かしこまりました。では、バスの方へ…」

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:2 | トラックバック:0 |

Humming from Pandora’s box ~あるいは何かのプロローグ06~

 ラムがジンにヒーリングをかけている間、メアリーが意識を失っているモンスターを引き上げ、意識を取り戻しても抵抗できないようにロープで縛りあげている。
 手慣れた様子でロープを操るメアリーの表情には、何故か嬉々としたものがあった。

「おい、メアリー…その縛り方はちょっと違うんやなぃか…ま、ええわ…」

 つっこみ半ばで、もはやどうでも良いと諦めた表情のベル。
 見ると、少々メタボ気味のモンスターは、ディジェネで言う【河童】のような姿をしており、メアリーの手によってみるみる亀の形に縛られて行く。

「ま…多少の被害はあったものの、とりあえず依頼は解決ってこっちゃな。今回は何故か依頼料も高めやったし、帰ったら久々にごちそうやで!」

「きゃうっ?ごちそう!?わぁ~い♪

「ははは…しかし、メアリー…今回だけは機転が利いてたなぁ」

「河原でお風呂に入る時には、あれが一番ですよね?…キャンパーの知恵です…うふ♪

「なぁにが解決よぉ~~~~!」

 気の緩んでいたベル達の背後から怒りの声が響く。

「はっ!?…お前はさっきの…泉の精?」

 振り返った先には、先程の泉の精が肩を震わせて立っていた。

「全く、あんなに泉をあったかくしちゃってさ!…あたしは暑がりだって~の!

「あ…すまんすまん。けど、沸騰したんは局地的やし…もう殆ど前の温度と変わらんのちゃうか?」

 ベルは謝りながらも、泉の方を見やる。

「ってゆ~かぁ~、こんな滅多に人が来ないトコ飽きちゃったって感じぃ?キミ達、泉を荒らした詫びとして、どっかもっと栄えた場所の水場を紹介してよ!」

「なんやぁ!?…なんだかんだイチャモン付けて、引っ越しの手伝いさせようって腹かぃ!」

「まぁまぁ…ベルさん、泉を荒らしてしまったのは事実ですし…泉の精さんも、まさか4tトラック2台でお引っ越しってわけでもないでしょうから…」

 否定的なベルをメアリーが諭すように言う。
 泉の精も、チャンスとばかりに言葉を継ぐ。

「そうそう。アタシ持ってく荷物なんかないしぃ~。ただ、一緒に連れてってくれればいいだけって感じ?…あ!但し、引っ越し先の水が汚いのは嫌よ?」

「な…何が水が汚ぃ…もごっ!?

「ラム、街中(まちなか)でつべたくて綺麗なお水があるトコ知ってるよ?…ラムが連れてってあげようか?」

 当分終わらなそうなやりとりに業を煮やしたのか、ラムがベルを制して泉の精に問いかけた。まぁ、単に一刻も早くご馳走にありつきたいという気持ちからのものと思われるが…

「やた!決まりねっ♪…じゃ、ついてくからねっ」

 泉の精の同意を得たラムは、まだ怒りの収まらぬベルをジンの胸ポケットに押し込み、ポケットをぽむぽむっと軽く叩くと、泉の精を連れ歩き始めた。

「よ~し、ごちそうに向って…れっつ・ごぉ~~~!

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:4 | トラックバック:0 |

Humming from Pandora’s box ~あるいは何かのプロローグ05~

「ぇ?…ぇ?…パ…パパパ…炎掌ぅ!!

(ヴォムッ!!)

 炎掌(パーム・ボム)は手のひらに火の球を作り出し、触れた物を爆破させる攻撃魔法である。

(ガラガラガラァァァ・・・)

「はぅっ!?」

 突然ジンのいる足場が崩れ落ちる。

(じゅぅぅぅ~~~!!)

 「ぎゃあああぁぁぁ~~~~!!」

 何故かユニゾンで響く叫び声と共に、極限まで熱せられた金ラムとその周りの岩は、水に触れた途端勢いよく蒸気を発し、付近の水を沸騰させた。

「…ぉ…終わったんか?」

 ベルが呟く…と、力なくぷかりと水面に浮かぶ…2つの影。
 1つは勿論、対戦相手のモンスターだが…もう一つは、紛れもないジンであった。

きゃっ!ご主人様ぁ~~~!すみません、そこまで考えが及びませんでしたぁ!」

 慌ててジンを抱え上げるメアリーを見て、ベルが呟く。

「いあ…絶対及んでた思うで…」


テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:0 | トラックバック:0 |

Humming from Pandora’s box ~あるいは何かのプロローグ04~

「せや!ジン…金ラムは忘れたらあかんで!?」

 ベルが振り返り、【物悲しそうな顔で首をかしげ、蓄音機を覗き込む犬】のような姿で固まっている【金ラム】を指差す。

「えぇ!?…俺が担いでくのか?…これ相当重そうじゃんかぁ~・・・」

 ジンが仕方なく金ラムを担ぎあげた時、本物のラムが水面に向かい低いうなり声を上げた。

「うぅぅ~~~」

 見ると、大きな影が水面に近づき、水面を盛り上げている。

「またか…誰かまた何か落としたんか?」

「いえ…何か雰囲気が違いますね…やっぱり私、魚紳さんを…」

だから、誰やっちゅうねん!

(ザザザァァ~~~!)

「おぉ~~~いてけぇぇぇ~~~~…」

 地の底から響くような極低音が一行を包んだ。

「な…なんやて?…今、置いてけ言うたんか?」

「おぉ~いてぇけぇぇ~~!特に金製品を、おぃてけぇぇ~~~」

「あ…分かりました♪先程手に入れた金ラムさんを置いてけって事なんでしょうね?」

 メアリーがぽんっと掌を叩いて呟く。

「それで行って来いでチャラ…で、【トントン池】って事なんか?アホらし…一体なんなんや…ホンマ疲れるわぁ…」

 ベルはため息をつき、その場に座り込んでしまった。

「おいおい、こっちが依頼されたモンスターって事だろ?…だったらどうにかしないとじゃん?」

 そう言いながらジンは火玉(ファイアボール)を作り出すと、水面の影に投げつける。

(じゅうっ)

「ダメか…相手が水中じゃ、火玉くらいじゃ全然効かねぇ…」

「置いてゆかぬなら…貴様等まとめて引きずり込むぞぉ~~~」

 水面は一層盛り上がり、ジン達のいる場所目がけて水がなだれ込んだ。

ご主人様!…こっちへ!!

 メアリーの声に、ジンは一段高くなっているゴツゴツとした岩場へと駆け昇る。

「そんな所へ逃げてもぉ~~むぅだぁ~~だぁ~~~」

 水が一度引いたかと思うと、先程とは比べ物にならないくらいの勢いで水面が盛り上がってきた。

「早く!ここへ火玉(ファイア・ボール)を沢山撃って下さい!」

 メアリーが指差す場所には、金ラムが置いてあった。
 ジンには全く意味がわからなかったが、問いかけている暇もなく、金ラムを中心に魔力の続く限り火玉を撃ち続ける。

(バシュッ…バシュッ…バシュゥ!)

「何しとんのや!…もう水が来るで!?」

 上空からベルが叫ぶ。
 水の中の影は、今にもジン達へ覆いかぶさろうとしていた。

ご主人様!最後に地面へ炎掌(パームボム)ですぅ!

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:2 | トラックバック:0 |

Humming from Pandora’s box ~あるいは何かのプロローグ03~

アホぉ!…折角くれる言うてんのやから、貰っとかんかい!」

(バシィッ!)

「きゃうん!?」

 足元が不安定なところにベルからのハリセンを受け、ラムは足を滑らせ泉にその身を落とした。

(ばっしゃ~~ん)

(ざざざざざぁぁ~~~)

「キミ達が落としたのは、この普通のラム?…それとも金ラム?」

 わざわざ一度泉の中へ戻り、再び現れた泉の精の両脇にはラムが抱えられていた…が、元々金色の毛並みを持つラムを、誰も見分ける事が出来なかった。

「き…【金ラム】って、何でさっきから省略しとんねん…しかし、どっちや?」

「見た目は両方とも一緒ですねっ♪」

「ってか、もし間違った方を答えたらどうなるんだ?」

 ジンの問いかけに、生来少々短気なところがあるのか、泉の精はやや語気を荒げて答える。

「間違えるって表現は正しいと思わないけどぉ…欲深い人間は大抵何も得られないものよ?ってゆ~かその場合、両方アタシのモノになるのよ?…ってゆ~か、重いんだから早く答えてよ!」

「えぇ!?…どないすればええんや…ラムは食い意地は張っとるけど、ウチらの仲間やし…なにより元の姿に戻してやるって誓っとんねやで?こんなトコでラムを…こうなったら、いっそ力ずくで…」

 そう言って飛び立とうとするベルの羽を、メアリーが掴んだ。

「痛っ!…羽は掴むな言うとろうが!」

「ベルさん、何を迷っているんです?こう答えればいいだけですよね?…『普通のラムさんです』って」

 メアリーが泉の精に向かって答えると、両方のラムがどさりと目の前に落とされた。

「もう…正直者はいいけど、早く答えてよね?」

「そ…そか、指差す必要はあらへんかったのや…さっきラムが指差してたから…あはは」

「げほっ…けほっ…きゅ~ん、助かったぁ」

 少々水を飲んでいたラムは、数度咳き込んだ後に一同のところへと這い上がって行った。

(…ぱしゃぁん)

 その時、対岸の方で何かが水面に落ちる音がした。

「わ~~ん、タマがぁ…タマがぁ~~誰か助けてぇ~!」

 見ると、【タマ】と呼ばれた猫が水面でもがいており、その近くで男の子が騒いでいる。
 泉の精はくるりと振り向くと水中に姿を沈め、その影は猫の方へと進んでいった。
 やがて対岸で同じやりとりが繰り返される…

「キミが落としたのは、この普通のタマ?…それとも金…」

もうええっちゅうねん!…とりたてて害のあるモンスターちゃうやんか。これなら放っておいてもええやろ…帰るで!」

 危うく耳に入りそうになった下品なネタをツッコミで遮り、ベルは帰り支度を始める。

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:2 | トラックバック:0 |

Humming from Pandora’s box ~あるいは何かのプロローグ02~

(・・・ぽちゃん)

 ぷかぷかと浮かぶサンドウィッチを茫然と見つめるベルとラム…ラムの瞳は、水面のさざ波のように潤んで揺れていた。

がうぅ~~!ベルのせいだよっ!!」

「んなコト言ったってやな…ってか、1こくらい分けたらどうや!」

 二人が喧嘩を始める…が、間もなくジンがそれを制した。

しっ!…何か来るぞ!!」

 ジンの声に一同は水面を凝視する。
 見ると、小さな影がゆらゆらと水底から昇ってくるように、その姿をどんどん大きくして行く。
 やがて、落としたサンドウィッチを頂点に、水面が影と共に盛り上がる!

「まさか…巨大イワナ!?」

「アホかぁ!?モンスターやろ!」

「では私、魚紳さんを呼んできましょうか?」

「だからイワナちゃう言うとろうがぁ!…ってか、誰やそれ!!」

(ザバァ~~~ッ!)

「き…来たで!はよ戦闘態勢をとり・・・ぃいっ?

 パニック状態だった一同は、水面に現れたその姿を見て茫然とする。
 そこには、ブロンドの髪…というか、ブリーチをかけたような少々痛んだ髪をぬらしたまま水面に佇む、年齢でいうと15歳前後くらいにしか見えない…コギャルのような少女がいた。
 

「キミ達が落としたのは、このハムサンド?…それともこの金サンド?」

は・・・はぁ?

 あまりに唐突な出来事に、二の句が継げずにいるジン達の前に、彼女はびしょ濡れのサンドウィッチと金で出来たサンドウィッチを差し出す。

「ってゆ~か、早く答えてよ!」

 泉の精…なのであろうか、しかし彼女は若く見え、言葉遣いも少々馴れ馴れしい。

「あ…いぁ…」

 ベルはびしょ濡れのサンドウィッチを指差そうとするが、それを返されても困ると思い…答えに躊躇している。

そっち!…そっちの普通のサンドウィッチだもん!」

 ラムが不器用そうな指で、迷うことなくびしょ濡れのサンドウィッチを指差す。

「キミ達は正直者なんだね?…じゃあ2つともあげるよ!」

「ううん…ソッチはいらない。…食べられないから!

 常識で考えれば、どちらも食べられないと思うのだが…
 ラムは金のサンドウィッチには目もくれず、素早く泉の精からびしょ濡れのサンドウィッチを受け取るや否や、ブラックホールの様なその口でそれを消滅させた。

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:8 | トラックバック:0 |

Humming from Pandora’s box ~あるいは何かのプロローグ01~

ここはA城山にある小さな泉。
そのほとりには、数人の男女がレジャーシートを広げていた…ぱっと見、ピクニックにでも来たように見えるが…

「っはぁぁ~~~~いい空気♪…生き返りますねぇ~~」

お前が言っていいセリフちゃうやろぉ!!

(バシィッ!!)

身の丈30cmにも満たないであろう、透き通った羽を持つ妖精《ベルモット》が、メイド姿の巨乳眼鏡っ娘《ブラディ・メアリー》へ、魔力が封じ込められた【+1ハリセン】と共にツッコミを入れた。

「きゃん!…ディジェネにもこんな空気の良い場所があるんだなぁ~って、純粋な感想でしたのに…」

 【ディジェネ】とは、所謂我々が住んでいる世界の事であり、彼女たちはリドルランドを中心とする【エボル】と呼ばれる異世界の住人である。

「…っにしても、自分の立場を考えたら他に言いようがあるやないかぃ!…全く、幽霊に『生き返る』言われた日にゃ、こっちが生きた心地せぇへんわ…全く、ゾンビかって話やっちゅうねん!」

 そう…先程陽光の下であまりにも健康的な伸びをやってのけたメアリーは、【幽霊】である。
 以前彼女はリドルランドのとある屋敷にいたのだが、ベル達がそこへ仕事中に立ち寄った際に出会った《ジン・ジュニパー》を気に入ってしまい、行動を共にするようになったのである。

「漫才はその辺にしとかねぇと、ラムが全部食っちまうぞ?」

 先程から水面を見つめたまま賑やかな背後に言葉を投げかけ、サンドウィッチにかじりついているのが前述の《ジン・ジュニパー》である。
 そのすぐ横には、他を寄せ付けない雰囲気を充満させながらサンドウィッチを大きな口へと次々に放り込む《ラム・バリオン》がいた。
 彼女は黄金色の髪を振り乱し、周りの絶景に目もくれず、一心不乱に食欲を満たそうとしている。
 人の姿でありながら、どこか犬の様な風貌・行動をする彼女は、【ゴールデンレトリバー】と【ダークエルフ】の合成獣(キメラ)なのである。
 勿論、彼女は望んでそのような姿になったのではなく、エボル最強と謳われる魔女《ミスティ》の魔法実験のモルモットにされた果ての姿だ。

「しかしベル、さっきから何もおかしなトコがないけど、【トントン池】ってホントにここで間違いないんだろうな?」

「あぁ…そのはずや。トントン池ってのは別名で…ソコの看板には正式名称が書いてあったが、途中までは役人さんに送ってもろたし、他に間違えるようなトコもない言うてたやん」

 ラムの隙を突いて何とかサンドウィッチを奪おうとタイミングを計りながらベルが答える。

「けど、本当にエボルから来たモンスターなんでしょうか?…お役人さんの話ですと、異世界ゲートが開く前から事件はあったみたいですし…あ、美味しいです。コレ♪」

 メアリーはいつの間にかサンドウィッチを手にしていた。

「確かにな。…けど、あれだけ大きなゲートはそうそうあらへんけど、太古の昔から時々異世界への通路は繋がっては閉じてを繰り返してたんやで?…っと、今やぁ!!

 そう言った刹那、ベルがぶるんと羽をはばたかせ、サンドウィッチ目がけて突進する。

「きゃうっ!?…ダメぇ~~これはラムの…あっ!」

 ベルに気づき、ラムがベルを阻もうとする…が、キャッチし損ねたサンドウィッチは、ベルとラムの手に弾かれ、泉へ転がり落ちた・・・

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:0 | トラックバック:0 |

Humming from Pandora’s box ~第1巻を終えて~

さて…「はみぱん」こと、Humming from Pandora's box 第1巻が終了して数日…
第2巻の構想は、まだ全然まとまりませんが…どうしても気になるのが読んで頂いた方の感想…(*/∇\*)キャ
キャラクターアンケート等は既に行っていますが、その他の部分で気になって眠れない質問が沢山あるのですが、なんとか5つにしぼってみましたので、「仕方ない、付き合ってやるか」と思って頂けた方は、レスに①~⑤それぞれをご回答願いますm(_ _"m)ペコリ

質問①
 ストーリーや世界観はわかりやすかったですか?

質問②
 読んでいて、「クスッ♪」とでも声を出して笑った場所はありますか?
 また、そこはどの辺りですか?(これが一番聞きたいカモ(;^_^A

質問③
 今回の犯人(?)が分かったのは、どのあたりでしたか?

質問④
 あえて【はみぱん】でダメなところを教えて下さい。
 誤字・脱字やストーリー…キャラは勿論、「番外編はダメやん!」など、なんでも構いません。
 ※打たれ弱いので、キツめな表現はオブラートに包んでお願いします^^;

質問⑤
 その他コメントがあれば是非お願いします(o*。_。)oペコッ

以上、私はバトンとかはやった事ないし、分からないのでこのような形式をとらせて頂きました。
ストーリーに対する質問は「○○話の△行目」じゃなくても、「前半の…ネイ達の服がスライムに溶かされる辺り」とかで構いません(Σそんな良いシーンあったっけ!?
通りすがりの方でもどなたでも構いませんので、お気軽にカキコ願います <(_ _)>

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

つぶやき | コメント:10 | トラックバック:0 |

FC2トラックバックテーマ  第764回「のどが渇いた時の飲み物」


FC2トラックバックテーマ  第764回「のどが渇いた時の飲み物」



っぷはぁぁぁ~~~~!!やっぱ暑い日の真昼間から飲むビールはたまらんなぁ~♪

なみなみと注がれたビールの入ったリキュールグラスを干して、ベルが唸る。

「ちょっとベル!…あなたビールなんか飲んで良い歳なの!?」

外回りから帰ってきたシェリーが慌ててベルに駆け寄った。

「ちょっとくらいええやん!・・・ってか、レディーに歳聞ぃたらあかんて…あはは♪」

ベルは既にほろ酔い状態なのか、上機嫌で答える。

「そう言えば私達の名前って、みんなお酒の名前なのよね?…特にカクテルが多いようだけど」

シェリーに続いて事務所へ入って来たネイは、取り出したタオルをうなじの辺りに押しあてながら呟いた。

「せやな。自分はベルモットで、シェリーも酒やし・・・
ネイ=ラスティールは、カクテルのラスティー=ネイル…なんかな?
ジン=ジュニパーのジュニパーは、ジンの主要成分【杜松の実】の事や・・・
ラム=バリオンは、何回もここで紹介しとるから分かるやんな?
後はブラディー=メアリーは、カクテ…はっ!?」

それまで上機嫌で語っていたベルが言葉を切り、慌てて辺りを見回す。

(ガラッ!)

不意に事務所の扉が開く…が、現れたのはベルが恐れていた人物ではなかった。

「今日もあっちぃな~~!走って帰って来たから、喉が乾いたぁ~
…お?コーラがあるじゃん!頂きっ!!
めちゃくちゃ運動した後って、何故か普段飲まないコーラが欲しくなるんだよな~」

そう言ってジンがテーブルの端にあるコーラを取ろうとすると、その陰から唸り声がした。

ううぅぅ~~~!!それラムのコーラだから、飲んじゃダメ!」

低く唸ったラムの顔は…かなり赤らんでおり、目の焦点も合っていない。

「ちょ…ちょぉ~~!ラム、それ酒なんちゃうか!?誰や!ラムに酒なんか飲ませたんは!?」

ベルの問いかけに、それまで何もなかったテーブルの横にぼんやりと影が浮かぶ。

「ラムさん、喉が渇いたっておっしゃるから、普通のコーラじゃ芸がないと思いまして…ライムとホワイトラムを少し落としてみたら…あら不思議♪【キューバリバー】ってカクテルになっちゃいましたぁ…うふ♪」

そういうメアリーの頬も、少し赤らんでいる…その片手にはラムが飲んでいたものと同じであろう飲み物が入ったグラスを持っていた。

「ななな・・・何がキュ…キュ…キュ…」

「キューバ・リバーです♪語源は植民地から自由を勝ち取った人々の言葉『ビバ!クーバ・リブレ!』から来てるらしいですよ?…キューバの自由バンザぁ~…きゃん!!」

言い終わる前にベルのハリセンがメアリーを捉えた。

何がバンザイやぁ!・・・お前が自由すぎるっちゅうねん!!

テーマ:自作連載ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学

はみぱん | コメント:12 | トラックバック:0 |
| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。