空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from pandora’s box ~エピローグ

その後しばらくして菅平教授はストーン・ゴーレムを利用した【危険作業補助ロボット】の試作第一号を発表した。

 精密機械をほとんど使用せず、その大部分が岩で作られたローコストなロボットは一躍世間の注目を浴びたが、怪我を完治させた増田助教授がそれに気付き、訴えを起こしたことによって開発にブレーキが掛かってしまうことになった。

 一方美沙はと言うと、しばらくは増田助教授と一緒に暮らし、相変わらずのスパイ生活をしていたのだが、やがて訴訟によってどんどん遅れるストーン・ゴーレムの開発に嫌気がさしたのか、離婚届を残して姿を消す。

 それから更に数ヶ月の後、とある週刊誌の裏表紙に美沙の発明した植物が載った。
当初、それは倦怠期を迎えた専業主婦には売れていたようだが、やがて衛生上の問題などにより発売中止となってしまう。

 程なくして【捕らえられた妖精たち】という題名のアダルトDVDが発売され、大ヒットとなったのだが、リドルランドに住むベル達には知る由も無かった。


~ ~ ~  Humming from Pandora’s box  第1巻 おわり  ~ ~ ~


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Humming from Pandora’s box ~043

(コトン)

 突然前触れも無く、事務所の入り口の方で小さな物音がする。

「ん?お客さんやないか!?…おいシェリーちょっと見てき!」

 依頼者の中には時折、事務所の入り口まで来てから依頼を迷い、入り口の前で行ったり来たりする者もいるのだ。

「ボクが?…しょうがないなぁ…ラム、ちょっと待っててね?…あれ?小包だよ?」

 シェリーがラムの治療をしていた手を止め事務所の入り口の扉を開けたがそこには誰もおらず、ふと目線を下げると包装紙に包まれた小さな小包が置いてあった。

「…誰からや?」

「え~…と、あ!美沙さんからだ!

「えぇ!?」

 一同が声を上げる。

「あ、開けてみぃ!」

 ベルに促され、シェリーはがさがさとそれを開いた。

「うん?ビデオと…手紙?」

 シェリーから手紙を受け取ったネイが、それを読み上げる。

(前略
 その節は大変お世話になりました。おかげさまで私の研究も上手く行きそうです。
 また、残金の件ですが、同封したビデオテープをお買い上げ頂く事で相殺させて頂きたく、宜しくお願い致します。
 かしこ)

「なんやそれ!そんなんで相殺できるわけないやろ!
そんな価値のあるテープなんか!?」

 シェリーがビデオテープを取り出し、それを古びたビデオデッキに差し込む。

うんっ…あっ…あん!

 と、スピーカーから女性の喘ぎ声が聞こえる。

「あほか!エロビデオなんかで料金をチャラに出来るわけ…ん!?」

 突然ベルの顔色が変わり、ビデオに釘付けになった。

「これはまさか…」

「きゃっ!お姉ちゃん!?

 そう、そのビデオはネイ達が例の蔓植物に襲われている時の映像であったのだ。

「あら?ネイさんたら、すごい格好で…あ、ベルさんも映ってますね…うふ♪」

 メアリーがビデオ画面を覗き込む。

「家から出てくるのが遅かったのは、そういうわけだったのね…全く、どこまでも用意のいい…」

 ポツリとネイが呟く。

恐らく美沙は防犯用のビデオでネイ達を撮影していたのであろう。

あほぉ!どうでもいいからはよそれを消せ!

 それまで呆然と画面を見つめていたシェリーは、ベルの言葉に慌ててテープを止めようとしたが、プツリと画面が切り替わった。

『ザ…ザザ…いかがでした?もしこのテープをお買い上げ頂けないようでしたら、これを売って残金返済に充てるつもりですが…
 念のためマスターテープはすぐに流通できるような状態で保管してありますので、その時はお申し付け下さい。
 連絡がない場合には、同意したものとして一定期間の後にマスターテープは破棄させて頂きますのでご安心を…それでは、続きをお楽しみ下さい…ザザ…ザ…』

 再びネイ達の画像が映し出される。

「もうええっちゅうねん!…あの女狐めぇ!
 連絡ったって、どこへすればいいねん!
あのアマぁ、今度見つけたらただじゃ済まさへんでぇ!?」

 ベルの怒りの声がリドル中に木霊(こだま)する。

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Humming from Pandora’s box ~042

「そそそ、そやな。あの女狐めぇ、今度会うたら絶対許さへんで!?
って言うか、まだ依頼料の清算が終わってへんやんか!
 くっそ~、がっぽり追加料金取れる思うてたのにぃ~!」

 最初はジンの追及を誤魔化そうとネイの話に乗っていたベルだったが、次第に自分のセリフに腹が立ち、語調を荒げてゆく。

「けど、前金は随分貰っていたでしょう?」

 ネイがそう言うと、何故かベルははっと何かを思い出したような表情を見せ、突然テーブルの上に降り立ってバツの悪そうな態度を取る。

「あの…いや…あれはもう使ってしもうたんや。
あ…新しい魔法書を10冊ほど買うてな…」

「なんだって!?…あ痛っ!」

 ベルの言葉に、ジンが飛び起きて文句を言おうとするが、包帯だらけの体を押さえて再びソファーへ倒れこむ。

「ジン、ダメじゃない。
ラム自身が回復するまでは回復魔法(ヒーリング)を使える人がいないんだから、しばらくは私の膝の上で大人しくしてなさいって。」

 ネイはジンの横へ座りなおすと彼の頭を自分の膝の上に引き寄せ、包帯の巻かれた頭をそっとさすりながら言う。

「あ痛っ…けど、ただでさえ高価な魔法書を、10冊も買うなんて…」

 ネイに膝枕をされたままジンが呟く。

「う…いや、どうせすぐに追加料金が入る思うて…な?…あは、あはは…」

 応接テーブルの上で羽と肩をしゅんと下げて、指先をもじもじと回しながら呟くベル。

「ラムをエルフに戻す魔法を探してるのは知ってるからあんまり言いたくないけど、そういうのは生活費を確保した上で買ってよ!」

 それまでラムの傍らで彼女の治療をしていたシェリーが、耐え切れずベルに詰め寄る。

「あ…う~…す、すまん。
 そそ…そや、ラムって言えば、最初に美沙を見た時から彼女に唸ったりして、彼女の事嫌ってたようやけど、あれは何だったんやろな?…な?…はは…」

 ベルは何とか話題を切り替えようと、思いつくままの話を切り出す。

「ごまかさないでよ!まったく、ベルはいつもそういう時に話を…」

「美沙さん…ラムの嫌いな臭いがしたの。
ラムがこんな姿になった時と同じ臭いが…」

 ラムが自分の話題に気付いたのか、傷だらけの体を起こそうとする。

「…うきゃん!…痛たたた…」

「ラム!まだ動いちゃダメだよ。ほら、横になって!」

 シェリーが慌ててラムの所へ戻り、再び彼女を寝かせる。

「科学者と魔法使いって共通の臭いがあるのかしらね?
…それとも、今回の事件の大本(おおもと)になったあの石…合成獣を作るのに必要なものなのかも…だとしたらそこから辿っていけば…」

そや!ラムを戻す方法も分かるかも知れへんな!

 ネイのセリフの後をベルが継いだ。

「ん~。けど、あの石を俺達がどうこう出来るわけじゃないじゃん。
 俺達は美沙や増田助教授のような科学知識もなければ、ラムをあんな姿にした魔女【ミスティー】の奴みたいな魔法知識も魔力もないんだし…」

 ジンがネイの膝枕からゆっくりと体を起こし、ソファーの背もたれに寄りかかりながら呟いた。

「そんなこた分かっとる。けど、手掛かりの一つにはなるかも知れんやろ!」

 ジンの言葉にベルは語気を強めた。
 勿論ジンもラムに対して(元の姿に戻してやりたい)という気持ちは強く持っている。

「そりゃそうかも知れないけど、それよりもミスティーの奴を探し出して元に戻す方法を聞き出した方が早いって言ってんじゃんか。」

 確かにそれが一番手っ取り早い方法ではあるが、それにも難関がある。

「何言うとるねん!ミスティーは滅多に人前に姿を現さんので有名なんやで!?
事実ラムの一件以来誰もその姿を見た者はおらん。
それに万一ミスティーを見つけたとして、リドル国王も一目を置いているって奴に勝てると思うとるんか!?」

「そんなのやってみなけりゃ分からないじゃないか!…痛たたた…」

 むきになって話すジンに激痛が走る。

「悪いが、今のジンじゃ相手にもならんわ。
初歩の攻撃魔法しか使えんで、ゴーレム相手にそんだけボロボロになってるようじゃな?」

「うぅ…くっそ~!」

 痛む頭を押さえ、反論できずに唸るジン。

「ベル、ジン…ありがと。でもね…ラム、今も幸せなんだよ?
 …パパやママにも会いたいけど、みんなと一緒も楽しいから…」

 その言葉に二人は口論を止め、黙ってラムを見つめた。

「ラ…ラム、お前…」

 ラムの精一杯の言葉にベルが感極まり瞳に涙を浮かべる。

「けどベル…ラムも、本よりゴハンの方が好き。」

 そう言ってラムは、ベルを見つめて屈託のない笑顔を浮かべた。

「はは…そ、そやな?今度からは気ぃ付けるわ。」

 少々照れたような表情でベルが頭をかく。

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第755回「掃除したらこんなものが出てきました」

身の丈30㎝に満たない妖精、ベルが今回のお題の書かれた大きな紙の前で自身の羽をはばたかせ、その内容を呟く。

「なになに…今回は【掃除したらこんなものが出てきました】やと…」

「きゅぅ~ん。ベルぅ、掃除ってナニ?」

犬がそうするように、ラムは四つん這いで大きく伸びをすると、ベルを見上げて聞いた。

「うんぅん…お前の辞書にはない言葉やろな。今回はウチら、ちょっと場違いやったかもなぁ…事務所の掃除をすんのは、いつもメア…はっ!?」

何かに気づいたベルは、慌てて四方を見回す…が、彼女が恐れていた者を確認する事は出来なかった。

「ふぅ…まさかとは思ったが、取り越し苦労やったか…さてラム、今日のトコは帰るで?」

・・・もう帰っちゃうんですかぁ~・・・

羽ばたいていたベルの真下に、メイド姿のメアリーがすぅっと姿を現す。

ぎ…ぎぃいぃいぃあぁあぁあぁ~~~~~!!!

新品のスーパーボールのようにあちらこちらに体をぶつけては跳ねながら、ラムの後ろに一目散に逃げ隠れたベル。

「お掃除がテーマなら、私が必要じゃないですか?…うふ♪

「いやいやいやいや…今日はもう帰るって決めとんねん!誰もメアリーなんか呼んでへんて!」

ゴールデンレトリバーの様なラムのふさふさした髪の隙間に隠れながら、ベルが叫ぶ。

「あらぁ…残念ですね。あ!…そうそう、先日の掃除で、こんなものが出てきたんですが…」

そう言ってメアリーが差し出したのは、大小様々なサイズの…骨だった。

「っうっぎゃあぁ~~~~!ななな、なんでウチの事務所にそんなモンがあんねん…う~~ん(ブクブクブク)」

幽霊の差し出す骨…ベルの恐怖はリミットを越え、ラムの肩の上で失神してしまった。

「きゃうん!ソレ…あたしのコレクション!メアリー、捨てちゃダメぇ~~~」

大切な(?)コレクションが持ち出されている事に気づいたラムがメアリーに駆け寄る。
気絶したままのベルはラムの髪に絡まったままがっくんがっくんと揺れていた。

「あら、そうなんですか?では、これからはきちんと整理して下さいね?」

うなづく事もせず、ラムはいくつかの骨を奪い取り、ガジガジとかじり始めた。

「そうそう!ジンさんのベッドの下からは、こんなものが…」

(シュバッ!!)

どこからともなく現れた影が、メアリーの差し出したモノを奪い取る。その時の速度はリドルきっての【くノ一】ネイに匹敵したと言う…

「こここ…これは、ととと…友達!うんうん…友達から借りたモノだから!」

しどろもどろで言い訳をしながら、その本の様なものを服の中へ隠しているのは…ジンだった。

「こんなモノを使わなくても、私にひとこと言ってくれたら良いのに…ねぇ、ジン?

ネイがいつの間にかジンの背後に現れ、服の中に隠したはずの本をパラパラとめくると、ジンの胸元から首筋…顎へと人差指でなぞる。

「つ…使うって…使うって、ど~ゆ~…うぅ、うわぁ~~~ん!」

ついにジンまでリミットを越えてしまったのか、その姿は彼の別人格【駄々っ子ジン】に入れ替わってしまった。

「あらぁ…ネイさん、ご主人様を泣かせちゃダメですよぉ…あ!そうそう、ネイさんのお部屋って事務所にはないですけど、先日屋根裏を掃除してたら…」

再びポケットから何かを取り出そうとするメアリーに、珍しく顔色を変えたネイから無数のクナイが舞う。

(シュパッ!)

「きゃぁ!…ネイさん?…もしかしてソチラの方も?…うふ♪

切り裂かれたメアリーの服がふわりと床に落ち、彼女の透き通るような(実際、少し透けているのだが)肌が露出する。

「私は今、ご主人様ただ一人に仕える身…けど、ネイさんがどうしてもって言うなら、一度だけ…って、あらぁ?

メアリーが振り向いた先にネイの姿はなく、小さなつむじ風が剥ぎ取られた彼女の服を揺らしている。
勿論そこからメアリーが差し出そうとしたモノは消えていた。

第755回「掃除したらこんなものが出てきました」


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Humming from Pandora’s box ~041

何やて!?じゃあ今回の一件は、奥さんの美沙が全て仕組んだって事なんか!?

 事務所へ戻ったベルが驚きの声を上げる。

「…そのようね。最初の蔓植物の一件だけは偶然だったようだけれど、それに興味を持った彼女が私達を実験台にするため依頼をしてきたって事らしいわ。
それに、結婚自体も偽装で、最初から彼の研究を横取りするつもりでそのタイミングを見計らっていたようね…
そうそう…それと帰りがけに彼女の自宅にも寄ってみたけど、研究に必要なものは既に全部運び出されていたみたいだったわ。
もうこっちへは戻らないでしょうね…」

 先に事務所へ戻っていたネイがソファーに腰掛けたまま肩をすくめる。

「じゃあウチらがゴーレムを倒しに行ったんは何だったんや!みんなボロボロになってんやぞ!?」

 ベルがネイに食って掛かる。

「ちょ、ちょっとあたしに当たらないでよ!
 ご主人が向こうでゴーレムを作り、菅平の研究所へ行ったのは、きっと自分の意思…
 但し『鉄槌を下せ!』の意味は、ゴーレムで菅平を倒すことではなくて、自分の研究成果を誇示する事によって菅平に対し精神的に鉄槌を下すという意味だったと思うわ。
 確かに恨みはあったんでしょうが、研究の成果で人を殺めるより、それを発表した方が遥かに得策でしょう?それ位は彼自身分かっていたはずだもの。
しかしそのメモを見た美沙さんは、それを利用して、彼が菅平を殺すと誤解するように話を持って行った…」

「そういえば増田さんは、菅平さんを殺すとは一言も言ってなかったですよね♪
 確か…『俺はこのゴーレムで菅平の奴より上の地位を手に入れるのだぁっ!』とか、自分の立場の事ばかり口にしてた気がします…うふ♪

 運んできたお茶を皆に配りながらメアリーが言った…ちなみに彼女は既に一度、お茶をトレイごとジンにぶちまけているので、これが二杯目である。

「あ!メアリー。俺はいらないから、こっちへは来ないでくれ!」

「えぇ!?今回一番活躍した、ご主人様に飲んで欲しくて淹れたのに…」

 お茶に対し異常なまでの警戒心を露にするジンに、メアリーが残念そうな表情で呟く。

「大怪我の上に、これ以上火傷したら死んじゃうじゃんか!?…あ痛っ…
 それに俺は途中で気絶しちゃって、大した活躍なんかしてないってば。」

「そんな事ないですよぉ~♪だって、あの後…もごっ!?

 ベルが素早く飛んできて、メアリーの口の中へと飛び込む。

「びぇ…びぇるはん?食びぇひゃっていいんれふか?」

いいわけあるかいっ!
…あのな、ジンは自分の人格の事は知らんねん。
記憶も失ったままやし、どっちが本当のジンなのかも分からん…だからまだしばらくの間、その事は言わんとき!」

 ベルはメアリーの口から出てくると、今度は彼女の耳元へ行き小声で耳打ちする。

「そうなんですか?…分かりましたぁ♪」

「あん?…何が分かったって?」

 ジンが不思議そうな表情で聞く。

「あやややや…ななな、何でもないねん!」

 明らかに動揺しながら、ベルが小さな手を目の前でぶんぶんと振る。

「…結局あたし達もご主人も、美沙さん一人に踊らされていたってことね…」

 ベルとジンのやりとりを冷ややかな目で見ていたネイだが、やがて小さく笑みを浮かべると、ソファーへ体を預けるようにもたれ掛かって自嘲気味に言った。

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Humming from Pandora’s box ~040

(シュパッ!)

 ネイの周りで閃光が一閃したかと思うと、ばらばらと切り裂かれた蔓植物が床に落ちる。

あなた…戦闘状態に入ったくノ一を甘く見ているんじゃないの?

 ネイのくない捌きに一瞬目を見開いた美沙だったが、すぐに落ち着き払った表情で話し始める。

「…まあ、球根さえあればどこでも実験は出来るのだから、これ以上危険を冒すことはないわね…さよなら。」

 そう言いながらさり気なく事務用のデスクに近付いた美沙は、引き出しからガスマスクのようなものを取り出すと、壁のボタンを押した。

(シュウゥゥ~…)

 刹那、天井から霧状の物が噴き出す。

「それはフランシーヌから抽出した毒花粉よ…ご存知の通り、それを吸ったら内臓から腐って行くわ。」

はっ!?シェリー!呼吸を止めて!

 叫ぶネイ。
彼女は忍装束の襟元をぐいっと鼻まで上げると、シェリーを助けに走る。

「お姉ちゃん!」

「黙って!息をしてはダメ!」

 シェリーを捕らえている蔓をくないで切り離すと、ネイは彼女を抱えて窓を割り飛び出した。

「はあ…はあ…大丈夫!?シェリー。」

「う…ごほっ!うん。
だけど、美沙さんが…」

(ブロロロォォ…)

 その音に振り向くと、白いワゴン車が猛スピードで走り去るのが見えた。

「しかたないわね…けどあなたも無事だったんだから、それでよしとしましょう。」

「だけど、捕まえなくていいの?」

 シェリーがネイを見上げて言う。

「死人や怪我人も出ていないし、彼女はディジェネだから、捕らえたとしてもディジェネの世界へ強制送還されるだけ…その後の裁きは向こうのルールで行われるから、どうなる事か…」

「だからって、あのままでいいわけが…そうだ、彼女菅平の所に戻るって言ってたから、国境へ向かってるはずだよ!
 審査には時間がかかるから、今からでも間に合うよ!?」

「ふふ…あなたは本当に素直な子ね?…きっと美沙さんはとっくに申請を出して、すぐにでも国境を通れる状態にしてると思うわ。」

 シェリーの頭を軽くなでながらネイが言った。

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第746回「今だに信じている都市伝説」

「またここか…そろそろ慣れてきたな。なになに?今回は『今だに信じている都市伝説』やて?」
異質な空間に佇む数人…その中でひと際小さな生き物であるベルが垂れ幕を読み上げた。

「都市伝説って、【口裂け女】とか【トイレの花子さん】とかの類のお話でしょうか…うふ♪」
透き通るよな肌をした、メイド姿の眼鏡っ娘【メアリー】がすうっと姿を現す。

おのれの存在が都市伝説じゃぁ!

(スカっ!)

ベルはメアリーに向ってハリセンを振り下ろすが、いつものようにハリセンはメアリーを通り抜け、勢い余ったベルは床に転がった。

「まったく、あなたは懲りないヒトね」
そう言って忍装束の女性がベルをひょいとつまみ上げる。

「ネイ!?…お前は今、本編じゃ大変なコトになってるんじゃ?」
驚いた表情でベルが振り向く。

「ま…それはそれ、ここはあくまで番外編って事で…ね♪
 そうねぇ…他にも【人面魚】…あ、あれはただの模様だったのよね?あ…そうそう、【人面犬】なんてのもいたかしら…」
ベルを肩に座らせ、ネイは遠い目でつぶやいている。

「くぅん…呼んだ?」
先程まで部屋の隅で丸まっていた影が頭を上げてこちらを振り向いた。

「おぉ!…ラムもいたんか。そやな~、お前は『まんま【人面犬】』やなぁ…って、しもた!」
思わず口をついたあまりに気遣いのない感想に、慌ててベルが口を押さえる。

「ラム、時々向こうにお散歩しに行くけど…」

お前が犯人なんかいっ!

(バシぃっ!)

今回は、ベルのハリセンが見事にラムに炸裂した。

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Humming from Pandora’s box ~039

「ひ、ひどい!…鬼!悪魔!

 もがき叫ぶシェリー…その下では、美沙の合図を待っていたかのように、マカルァーヴァが勢いよく彼女の足に絡み付く。

あ…あぅっ!?

「もしまだ質問があるのなら今のうちにしちゃいなさい。
 もうすぐ喘ぎ声以外は口に出来なくなるでしょうから…」

 マカツァーヴァはシェリーの足に絡み付きながら、どんどんと太腿を伝い登って行く。

「うぐっ!じゃ…じゃあ、最初の蔓植物もあなたの…あっ!」

「それは違うわ。あれは確かに増田の研究の副産物だったの…実際私もあれに襲われたんだから…けど、その直後にあなた達を呼んだのは、あの植物に興味が湧いた私が、データを取るためだったのだけれど…
 まあいずれにしろあの件がきっかけで、この【ガーデニング・オナペット=A-Non(ええのん)花】を思いつくきっかけになったのよ。
そうそう、ネイさんのお話も役に立ったのよ?
彼女の話が気になり、庭の植物の性質を調べてみたら…私の研究にぴったりだったの…あら、もう聞こえてないかしら?」

あぅっ…あぅっ!

 足の付け根まで這い上がったマカツァーヴァは、シェリーのはいている黒いスパッツの隙間から器用に中へと忍び込み、薄っすらとした盛り上がりを擦るように何度も往復していた。
 美沙は様々な角度からマカツァーヴァを観察しながら時折メモを取っている。

「じゃあ、そろそろ【A-Non花】の本領を発揮して貰いましょうね?
 マカツァーヴァ本来の催淫効果もあるから、すぐに病み付きになるはずよ?」

あふっ…あふぅ…や、やめ…あっ!

 笑みを浮かべた美沙はポケットからカッターを取り出すと、その刃をシェリーの下着に添える。

「あっ…く!や、やめてぇ~!」

(シュッ…ストッ!)

 シェリーが叫んだ瞬間、風を切る音がしたかと思うと、マカツァーヴァが動きを止める。
 美沙が鉢を見ると、マカツァーヴァは茎のところでぷっつりと切断されており、その先の床には柄の部分に薔薇をあしらった【くない】が刺さっていた。

「…早かったわね…ネイさん。」

 シェリーとは反対側の壁際に、いつの間にか忍装束を着たネイが立っている。

お姉ちゃん!

「話は聞かせてもらったわ…場合によっちゃあたしが実験台になっても良かったけど…妹をこんな目に合わせたのは許せないわね?」

 一瞬シェリーに目をやり頷くと、ネイは美沙を睨みつける。

「あら…なら話は早いわね。実験台(マウス)は多い方が、より正確な検証結果が得られるから…」

(シュルシュル…)

 と、ネイの背後から無数の蔓植物が投網のように襲いかかる!

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