空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from Pandora’s box ~038

「やめて!ほどいてよ!」

 蔓植物に捕らえられたまま天井裏から下ろされたシェリー。

 今は床や天井から伸びた蔓に縛られ、大の字の状態で壁に貼り付けられた状態で必死にもがいている。

「ふふふ…だめよ。あなたはこれから私の開発した主婦向け玩具【A-non花(ええのんか)】の初めての実験台(マウス)になってもらうんだから。」

 妖しく微笑んだ美沙は、先程のマカツァーヴァの生えた鉢植えを、身動きの出来ないシェリーの前にことんと置いた。

「何…それ?マカツァーヴァじゃないの?」

「そうね。それじゃあデータを取りながら、説明してあげましょうか…
 まずそれはマカツァーヴァではなくて、私が増田の研究をヒントに作った合成植物(キメラ)なのよ…ここへ来た時に表にもフランシーヌと蔓植物の合成植物があったでしょう?」

 美沙は傍らからバインダーのようなものを取り、白衣の胸ポケットからボールペンを抜いた。

「ま、《増田》なんて…あなたのご主人じゃないの!?」

 事務所では夫と呼び、随分と心配していた様子だった美沙の態度が豹変していることに戸惑うシェリー。

「あいつが!?
…ふふふ。まだ若いあなたには理解できないかもしれないけど…偽装結婚って言葉を知らないかしら?」

 ボールペンを軽く顎に添え、妖しく微笑む美沙。

「どういうこと!?ご主人を愛してなかったって言うの?」

「う~ん、そうねぇ。愛してはいたわ…彼の頭脳をね?
…私が菅平と増田の研究チームの助手をしていたのは知っているのよね?
 そこで働くうちに、増田の研究熱心さと、その発想の素晴らしさに気付いたの…けど、男としての魅力は断然菅平の方が上だったわ。」

 そう言いながらマカツァーヴァの鉢の位置をずらし、足を開かれたシェリーの真下に置きなおす美沙。

「年上の魅力って言うのかしら…菅平に惹かれた私は彼と陰で付き合い始めたの。
 しばらくして彼の論文が上手く行かないと嘆いているのを聞いて、増田の論文をそっくりコピーして差し出したのよ。
 彼も最初は受け取らなかったんだけど、やはり人間、欲には勝てないものね…それからは、情報を引き出しやすいように表向きは増田と付き合うようになったの。」

「そんな!好きでもないのに!?」

 噛み付かんばかりに声を荒げるシェリー。
その下ではマカツァーヴァがぐねぐねと妖しく蠢いている。

「増田は論文が盗まれたのに気付いてからも、私を疑おうとはしなかった。
もしかしたら初めての恋だったのかしら…本当にそれまで研究一筋でやってきたのね。
 結婚して、菅平から離れる為にリドルランドへ行こうと言われた時には本当にびっくりしたわ…だってその時点でキスすらしていなかったのよ?
 まあ最近は結婚したことで安心したのかしら…元の研究バカに戻ってしまったけど。
 さ、いつまでも昔話をしていてもしようがないわね…検証結果が取れ次第、彼の所へ戻らないといけないから…そろそろ実験開始といこうかしら?」
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Humming from Pandora’s box ~037

 両拳が振り下ろされた刹那、爆心地に火柱が立ちストーン・ゴーレムの腕がぼろぼろと崩れ落ちた。

「…爆炎柱(ヴェルザウル)。」

 小石となって崩れ去るストーン・ゴーレムの腕の下で小さく呟くジン。
 崩れ落ちる小石が当たり、ジンの額からは一筋の血が流れる。

な、何ぃ!?…そ、そんなバカなぁ!

 拳を失ったストーン・ゴーレムが怒り狂ったように腕を振り回す…が、ジンは先程のようにことごとく炎掌(パームボム)でその腕を弾き飛ばす。

「おじさん…もう僕…キレたよ?」

 額から流れ落ちる鮮血をぺろりと舌で舐め取り、ジンが言い放つ。

「ジン…ジン!キレたらあかん!ゴーレムさえ壊せばそれでええんやで!?」

 上空からベルが声を掛けるが、ジンには聞こえていないのか、左腕を振りかざすと新たな魔法を発動する。

「炎蛇縛(ヴェルアダラ)!」

 ジンのセリフに呼応するかのように生まれた【炎で出来た蛇】が、彼の左腕に絡み付いている。
 ジンの合図に解き放たれた炎の蛇は、ストーン・ゴーレムに飛び掛り、みるみるうちにそれを縛り上げる。

「ぐあっ!」

「火玉(ファイアボール)!」

 間髪いれずに火玉(ファイアボール)を両手にそれぞれ作り出し、まるで飲み干した空き缶を投げ捨てるかのように無表情でストーン・ゴーレムに次々と投げつけるジン。

(ボムッ…ボムッ…ボムッ…)

 同じ火玉(ファイアボール)でも、先程までの物とは威力に格段の差があった。
 ぼろぼろと崩れて行くストーン・ゴーレム。

「魔力抑制リングをしていて、あれだけの火力を生むなんて…」

 岩陰でメアリーが呟いた。

「ジン!もう増田は中で気ぃ失っとる。
もうええのや…これ以上やったらあかんて!」

…しかしジンは手を止めることもなく火玉(ファイアボール)を発し続ける。

「もうやめい、ジン!…ジン!…いい加減、死んでまうて!
…こうなったら、しゃあない…」

 ベルはジンへの呼びかけを止め、胸元から【眠りの粉】を取り出すと、袋ごとジンを目掛けて投げつける。

(バシュッ!)

 気付いたジンが片手で袋を振り払うが、舞い散った粉を吸い、その場に倒れる。

「ふう…これで一安心や…まさか増田の方はゴーレムの中で死んでへんやろな?」

 ベルがぱたぱたとストーン・ゴーレムに近付き、甲冑の中を覗き込む。
 その中では眼鏡を壊し、火傷を負った増田が気絶していた。

「う~ん…まあ、とりあえず一命は取り留めたって事で…」

 沈む夕日に照らされたベルは傷だらけになりながらも、安堵の表情を浮かべていた。

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Humming from Pandora’s box ~036

「あれはご主人様…ですよねぇ?」

 岩陰に体を潜めると、メアリーが不思議そうな表情でベルに問いかける。

「勿論そうや。けど今のジンは、ジンであってジンやない…痛(つ)っ…ジンの中には別の人格が潜んでいるんや。
気を失った事で、きっとそれが出てきたんや…ろ。」

 岩にもたれかかり、痛みをこらえながらベルが答える。

「…どういうことです?」

「そもそもジンとウチが出会ったんは、時空の狭間が出来てすぐ…ウチもジンも時空の狭間近くで倒れていたんや。
 ウチはそれ以前の記憶を失い、ジンも自分の名前すら覚えてへん状態で、ジンと言う名もウチが便宜上付けたった名前なんや。
 その時からジンは二つの人格を持っていて、当時はしょっちゅうそれが入れ替わるんで、結構大変な思いをしたで…あのジンはかなりの駄々っ子やったからな。」

 時折痛みが走る肋骨の辺りを押さえながらも、ベルは少々懐かしそうな表情で語る。

「そうなんですかぁ♪…けど、私はあのようなご主人様は、初めて見ましたけど…」

「ああ…今はほとんど大人しい方のジンで落ち着いてるようやからな…この前の浮気調査の時にジンとシェリーが誰かに助けられたって言ってたやろ?
あん時オークをやったんは、もしかしたら別人格のジンやったかも知れんが…
まあ、比較的最近ウチの事務所に来た者(もん)は知らんやろな。
知っているのは…ラム位やないかな。」

 二人は気絶しているラムに目をやり、彼女の(ストーン・ゴーレムを倒せるのはジンだけ)というセリフを思い出す。

「へぇ~♪…けど、さっきベルさんが言ってた、手が付けられないって言うのは?」

 メアリーの質問に、はっと気付いたように立ち上がったベルは、ジンの方へと視線を移す。

「そや、あのジンは駄々っ子の上に、驚くほどの魔力を持っているんや!
 前にジンがブレスレットに自分の使えない魔法がぎょうさん入ってるって不思議がってたやろ!?
 それは、あの人格のジンが使う魔法なんや…今のジンは手負いのユニコーンみたいなもんで、ほっといたら相手を殺しかねんで。」

 ベルは最後の力を振り絞り、よろよろとジンの方へと飛び立った。
 一方ジン達の戦いは既に始まっている。

「やめてって言ってるのにぃ!
これ以上はホントに我慢できないよ?」

 ジンはストーン・ゴーレムの振り下ろす拳を、ことごとく炎掌(パームボム)で弾き返している。

「俺の研究を邪魔する奴は、誰であろうと許してはおけん!
 俺はこのゴーレムで菅平の奴より上の地位を手に入れるのだぁっ!

そう叫んだ増田に反応し、ストーン・ゴーレムは両手を組むと高々とそれを振り上げる。

「きゃあ!ご主人様!」

 メアリーが叫ぶ。

(ズゴォォ…ン!)

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