空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from pandora’s box ~035

「ジン…ジン…
すぐに回復魔法(ヒーリング)かけて…はぁ、はぁ…あげるからね?
くぅ…あの石を…やっつけられるのは、ジンしかいないんだか…ら…きゃう!」

 激痛にうずくまるラム、すぐに再び進もうとするが、それもままならない。

「さて、後二人を少々懲らしめて菅平への手土産にするか…」

 増田がそう言うと、ストーン・ゴーレムが不気味なほどゆっくりとベル達の方へ体を向ける。

メアリー、逃げぇ!

 振り下ろされるストーン・ゴーレムの拳を避けるように飛び立つベル。

「そうか、お前は飛べるんだっけな。」

 ストーン・ゴーレムは、その巨大な手のひらで地面の砂を掴むと、それをベルに向けて放った。
 投げつけられた大量の砂利は、投網のように広がる。
飛び散る砂利は、ベルにとってはちょっとした岩が飛んでくるのと変わらない。

(ビシッ!)

「あうっ!?」

 避けようのない石の礫に当たり、ベルは撃ち落された鴨のようにひらひらと落下する。

「…あと一人…」

 振り向いたストーン・ゴーレムの先には、メイド姿の眼鏡っ娘《メアリー》がいる。

「…うふ♪」

 メアリーの取り繕った笑顔には、冷や汗が流れていた。

(ズゥン…ズゥン…)

 足を失くしたストーン・ゴーレムが少しずつ目標に近付く。

「お前は研究の成果に傷を付けたのだから、ただではすまさんぞ!」

 巨大な拳がメアリーに向かい振り上げられる。

「きゃあ!」

 メアリーは実体を消す事も忘れ、その場で頭を抱えてうずくまってしまう。

(ズガァン!)

 轟音が響いた…だが、まだストーン・ゴーレムの拳は振り上げられたままである。
よく見るとストーン・ゴーレムの背中から黒煙が上がっている。

「ぐあっ!?…だ、誰だ!」

 ストーン・ゴーレムが振り向くと、小さな黒い影がゆっくりと立ち上がる。

「おじさん…僕の友達をこれ以上傷付けると…僕、キレちゃうよ?」

 小さな影はストーン・ゴーレムに近付きながら次第に淡いオーラを放つ。

「お前は、さっきの?…いや、別の人間か?」

 夕刻の薄暗い中で、それまで戦っていた誰ともつかない口調を聞き、増田はそれが誰なのか判別がつかない…そして次第に強まるオーラは、やがてその姿を現して行った。

「ご主人様ぁ♪」

 メアリーが叫ぶ。
 その姿は確かにジンであったが、それまでよりずっと幼く見え、口調もまるで子供のように聞こえる。

「く…ジンのもう一つの人格が出てきたか…こうなったらもう手が付けられん。
 メアリー、ラムを連れて出来るだけ離れとき。」

 メアリーにはその意味が分からなかったが、ベルの言葉に従いラムを助けに向かう。

「あ、ありがと…メアリー。
あのジンが出てきたなら、もう心配ない…よ。」

 メアリーがラムを背負うと、ラムは力ない笑顔でそう言い、安心したのかそのまま気を失ってしまう。
 メアリーはそのままラムを背負って出来るだけその場から離れた。
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Humming from Pandora’s box ~034

しまった!ラムが…」

 砕けた岩の破片が当たり、その場に取り残されたラムがゆっくりと目を覚ます。

「ラム!はよ逃げぇ!」

「…くう~ん。ごはん?…うきゃん!」

 事態を把握できないラムの足をストーン・ゴーレムが掴み、振り上げる。

「きゃうぅ~ん。なに…なに?」

 逆さ吊りの状態にされたラムのスカートはめくれ上がり、ふさふさとしたしっぽが下着の隙間から覗いていた。

「何だこれは…最近の女子高生はこんなものを生やすのが流行っているのか?」

 戦闘中ちょこまかと動き回っていたラムを、増田は本当の女子高生だと思っていたようだ。

「うきゃん!痛い…痛いぃ~!

 ストーン・ゴーレムはラムの尻尾を引き剥がそうと引っ張る。

「ラム!…ちっくしょう…炎掌(パームボム)!」

 もがき苦しむラムを見たジンは、後先を考えずストーン・ゴーレムに飛び掛った。
 ジンにとって幸運だったのは、先程のメアリーの攻撃によって足を失い、更にラムを持っていた事により、ストーン・ゴーレムの動きが鈍っていた事だった。

「その手を離せぇ!」

(バシュッ!)

 ラムの尻尾を握っていた腕に閃光が走る。

「ジン!危ない!」

 爆発の勢いで思わず手を離したストーン・ゴーレムだが、ダメージ自体はそれ程大きいものではなく、返す手のひらでジンをなぎ払う。

「うぐっ!?」

 手のひらだけでもかなりの大きさをした石の塊が、凄まじい勢いでジンを襲う。

(ズシャァ…)

 吹き飛ばされたジンはそのまま地面に叩きつけられ、ぴくりともしなくなった。

「ジン、大丈夫ぅ?…ジィィ~~~~ン!!

 ラムが叫ぶ…しかしジンはうずくまったまま何も答えない。

「菅平の奴め…ガキばかりかと思えば、わざわざリドルから魔法使いまで雇いおって。
 そこまでして俺の研究を横取りしたいのか…俺の開発したゴーレムを見せてやれば少しは驚くと思ったが、もう許せん!」

 増田の感情に反応したのか、ストーン・ゴーレムはラムを持った手を振り上げると、彼女を地面へ向け投げつけた。

「きゃっ!…うぎゃん!」

 受け身を取りきれないまま一度地面に叩きつけられたラムは、そのまま転がり岩に背中をぶつけた。
しかしラムは痛みを堪え、そのまま這うようにしてジンの方へと進む・・・

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Humming from Pandora’s box ~033

わぁあ~!
な…何で、何でそこまでせなあかんのや…責任取れとは言ったけど、ウチはそんな事…」

 泣き崩れるベル。
と、横から聞き覚えのある声が聞こえる。

「これがホントの自爆霊ですね…てへっ♪」

 その声に振り返ると、メアリーが屈託の無い笑顔で自分の頭を軽く小突いていた。

「お、お前…さっ、さささ…」

 ベルはメアリーを指差したまま言葉を詰まらせる。

「…酸化エチレン?」

ちゃうわ!お前さっき、ストーン・ゴーレムと一緒に爆発したんや…」

 メアリーが笑みを浮かべたまま答える。

「しましたね?…うふ♪」

「あほぉ!死んだかと思ったやんか!」

「死んでますよ?…てへっ♪」

 当然のことのように笑顔で受け答えをするメアリー。

「そ…そやった。お前はもともと幽霊やったんやな…って、先に言えや!
しかも覚悟を決めたような顔で振り向きおってからに…」

 やっと事態を把握したベルが涙を隠すようにそれを拭った。

「爆発の瞬間、実体を消したんです。私だって、実体のままであの爆発に巻き込まれたら、ただでは済まないですからね?
…あぁ~…やっぱり完全にやっつける事は出来なかったみたいですね…うふ♪」

 メアリーが土煙の方を指差す。
すると両足を破壊されたストーン・ゴーレムが、両手を使いこちらへと這って来るのが見えた。

(…ズズゥ…ズズゥ…)

「けどダメージは大きいで!メアリー、もう2~3発かましてき!」

 隠れていた岩に勢い良く飛び乗って、毅然と立ち上がり片手を腰に当てると、ベルはストーン・ゴーレムをびしっと指さし、メアリーを促す。

「それが…あれでお終いなんです。」

 メアリーが空のバスケットを逆さにして振って見せる。

「な、なんやて?
…そんな中途半端な…」

 振り向いて顎を足元までがくんと開き、呆然とメアリーを見つめるベル。

「危ない!来るぞ!」

 ジンが声を上げる。それに弾かれたように皆が一斉に散る。

「菅平の手先め!よくも私が苦心して作り上げた研究の成果に傷を…」

(ズズゥン!)

 ストーン・ゴーレムの拳が振り下ろされ、ごつごつとした岩が粉々に砕ける。

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Humming from Pandora’s box ~032

「…絶対趣味やな…まあ、今はそんな事どうでもええわ。
そいつなら何とかなるかも知れん。はよその爆弾をセットしてき!」

 そんな会話をしている間に、増田はゴーレムの胸を閉じ、甲冑のようなマスクを下げると、先ほど放った腕を付け直しながらジン達の方へと歩き始める。

「あの…セットって言うか、時間がなかったものですから起爆装置はこんなものしか取り付けてないんです…うふ♪

 見ると爆竹が数本まとめられて玉に埋め込まれている。

「なんやそれ!?
こんなん火ぃ点けてから爆発するまでに時間がなさすぎるやろ!点火してから逃げる間がないやんか!?
お前はホンマにアホか!
この責任どう取ってくれんねん!」

 折角生まれた希望の光が、ただの無用の長物だったことを知り、ベルはメアリーに怒りをぶつける。

「そ、そんなに怒らないで下さいよぉ…だったら、こうすれば…」

 メアリーはマッチを擦り、導火線に火を点ける。

「うわっ!あほぉ!!こ、こんな所で…」

 慌てふためくベルとジン。しかしメアリーはダイナマイトを抱え、それを持ったままストーン・ゴーレムへと駆け出した。

「ちょ、ちょっと待て、そんな事したら…メアリー、待てって…メアリー!」

 ジン達がメアリーを制止しようと大声で叫ぶが、彼女は無言でそのまま真っ直ぐに走り続ける。

「メ…メアリィ~~!!」

「…うふ♪」

 ストーン・ゴーレムの手前で一度だけ振り返るメアリー…寂しげなその笑顔が夕日に照らされて美しく輝いて見えた。

(…スドォォォン)

 ストーン・ゴーレムの直前で起こった爆発は、その巨体まで覆うような土煙を舞い上げ、飛び散った小石がジンやベルに降り注ぐ。

「メアリィ~~!!」

 ベルが叫ぶ…その頬には一筋の涙が伝っていた。

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