空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from Pandora’s box ~031

「な、何だ?…ゴーレム!」

 増田の声に振り返ったストーン・ゴーレムだが、その距離は彼を助けるには遠すぎた。
しかしストーン・ゴーレムは拳を握り、何かを投げる動作をする。

(ヴォン!)

 するとストーン・ゴーレムの右腕が肘の辺りから外れ、ベルに向かって飛んで行く。

ベル!危ないぃ!

 ラムが犬のように四つ足で駆け出した。
そのスピードはまさに獲物を追いかける狩猟犬そのものだった。

(ズドォン!)

 ストーン・ゴーレムの腕はベルを僅かに逸れ、増田の後ろで砂煙を上げて着地する。
 刹那、着地の爆風が砂埃を舞い上げ、それと共に舞っていた眠りの粉をも吹き飛ばした。

「ベル!だいじょう・・・ぐう。」

(ズザザザァ~)

 運悪く舞い散った眠りの粉を走った状態のまま吸ってしまったラムは、足を止めスライディング状態で眠ってしまった。

「そういう事か…運が悪かったな。
ゴーレム!装着!!

 熟睡しているラムを見下ろし、ベルのやろうとしていた事を理解した増田…そうして彼がストーン・ゴーレムに向かって叫ぶと、それは轟音を立て増田の方へ駈け寄る。

「やっべ、ラムが危ねぇ!」

 それを見たジンもラムを助けようと走り出した。
 増田の前で立ち止まったストーン・ゴーレムはその場で跪き、自らの胸を割り開く。
 見るとそこには人一人が入れるくらいのスペースが開いており、増田はその胸の中へと体を納める。
 その間に眠ったままのラムを抱え、ジンが彼女を安全な距離まで連れて行く。

「ふははは…これで私を眠らせる事も傷付ける事も出来まい!」

 岩陰にラムを寝かせたジンが振り向くと、ストーン・ゴーレムと一体化した増田が高笑いをしている。

「何てことや!あいつ、ストーン・ゴーレムの弱点を克服しよった!」

 ストーン・ゴーレムはそれを操る術者が死んだり意識をなくしたりすると術が解けて動けなくなるのだが、これではストーン・ゴーレム自体を倒さないことにはそれを止める事が出来なくなってしまったのである。

「さすがディジェネの研究者やな…きちんとゴーレムの弱点まで把握しとる…ジン、どうする?」

 ベルが焦燥顔でジンへと振り向く…と、その奥でなにやらバスケットを開いているメアリーに気付く。

「サンドウィッチなんか食べとる場合やないやろ!?」

 メアリーはその声に笑顔で振り向く。

「うふ♪違いますよぉ。
実はこの前ベルさんに捨てろって言われたニトログリセリンと珪藻土…こんな事もあろうかと、混ぜて持ってきちゃったんですぅ♪なんだかダイナマイトになっちゃいましたぁ…てへっ♪」

 そう言ってメアリーは、バスケットから灰色の大きな玉を取り出す。

「ほんまにこんな事態を予想してたんか?…単に趣味やないのか?」

 訝しげにメアリーを睨みつけるベル。

「…うふ♪
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Humming from Pandora’s box ~030

「ジン!炎掌(パームボム)なら何とかなるかも知れん。」

 上空をぱたぱたと飛びながら、隙を窺っているベルが叫んだ。

ばっかやろぉ!
あんな俊敏なゴーレムの懐なんかに入れるかよ!?」

 確かに炎掌(パームボム)は火玉(ファイアボール)に比べ爆発力も大きく、ストーン・ゴーレム自体は吹き飛ばせないまでも、多少のダメージは与えられるかも知れなかったが、炎掌(パームボム)は相手に接触しなければ発動しない。

「何でもええから、お前の方へ相手の気をそらせとき!」

 そう言い放ったベルは大回りをしてストーン・ゴーレムを避け、増田助教授の方へと飛んで行く。

「俺は囮かよ…しょうがねえ。
火玉(ファイアボール)!火玉(ファイアボール)!ファイア~・ボ~~ル!!」

 連続して放たれた火玉(ファイアボール)。
ダメージはほとんどないが、ストーン・ゴーレムの注意をひきつける事は出来ているようだった。

「グオォォ…」

 ストーン・ゴーレムはジン目掛けて突進してくる。

「うわっ、やべぇ!」

(ズゥン!ズドゥン!ズドゥン!!)

 ジンを狙い、拳を滅多打ちに振り下ろすストーン・ゴーレム。
何とか紙一重で避けているジンだが、やがて少々疲れが見えてくる。

「うおっ!?」

 小石に足を取られ、バランスを崩すジン。そこへストーン・ゴーレムの拳が振り下ろされる。

「きゃう、ジン!危ないっ!!」

 横からラムが飛び込み、ジンを突き飛ばす。

「サンキュ、ラム。」

 間一髪ラムに助けられたジンが彼女に礼を言い、再びストーン・ゴーレムとの間合いを広げる。

「今や!それ、お休みや!」

 ジンとラムがストーン・ゴーレムの相手をしている間に、離れた場所で戦闘を見ていた増田の近くまでベルが来ており、彼目掛け上空から眠りの粉を撒き散らす。

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Humming from Pandora’s box ~029

「あ、あのチリチリ頭は…増田助教授!

「ちゅうことは…あれは、やっぱりゴーレムなんか!?」

 今やその姿をはっきりと見せた巨体。
それは、体全体が黒々とした溶岩石で形成され、その姿は巨大な西洋甲冑のようで従来のストーン・ゴーレムを遥かに凌ぐ威圧感がある。

「ディジェネは、何てもんを作るんや…」

 歩みを進めるストーン・ゴーレムを見上げ、ベルは思わず驚嘆とも取れる言葉を発した。

「研究の成果を輸送中だ…どかないと危険だぞ!」

 ストーン・ゴーレムの腕に抱えられた増田助教授は、ジン達の姿を見つけると注意を促す。

「ちょっと待ちぃ!菅平教授のトコへは行かせへんで!?」

「なに…お前ら菅平の手先か?
ん?何処かで見た顔だな…まさかまた俺の研究を横取りしようと…」

 黒縁の眼鏡をぎらりと光らせ、増田がジン達を見据える。

「とにかく、止まらんならこの場でゴーレムは壊させて貰うで!?」

 増田はジン達を菅平のスパイか何かだと思ったようだが、ベルも依頼主(スポンサー)の名前を出すわけには行かない。

「くっそぅ。またしても…菅平めぇ!
こうなったら構わん。ゴーレム、こいつらを倒せ!

来るで、ジン!戦闘(しごと)や!

 ストーン・ゴーレムは増田を静かに地面へ下ろすと、巨体の割に俊敏な動きで突進してくる。

(ゴガァン!)

 振り下ろされたストーン・ゴーレムの腕を間一髪で避けるジン…見るとアスファルトが割れて地面に窪みが出来ていた。

「おいおい…こんなのに当たったら、ぶっ潰されちゃうじゃんか!」

 ジンが間合いを取る。
 その間にラムがストーン・ゴーレムの背後に回り込み飛び掛った。

ゴハンの仇ぃ~!

(ブゥオン!)

 振り回したストーン・ゴーレムの腕に弾かれ、ラムが宙を舞う。

「きゃうん!」

「大丈夫か!?」

 地面に叩きつけられたラムに駈け寄るジン。

「くっそぉ…スペルチップ【炎】!インストール!!」

 懐から小さなチップを取り出したジンは、それを左腕のブレスレットに差し込む。

「火玉(ファイアボール)!」

 ジンがそう叫ぶと手のひらに炎の塊が生まれ、彼はストーン・ゴーレム目掛けてそれを投げつける。

(ボウッ!)

 火の玉はストーン・ゴーレムに当たった瞬間、火力を強め炎を上げたが、魔力抑制リングをしているせいか、その威力は半減している。

「ちくしょう!何でこんなリングを付けなきゃいけないんだよ!?
向こうはフルパワーじゃんか!」

 リングに悪態をつくジン。

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Humming from Pandora’s box ~028

「何だ…あれ?」

「鬼だ!鬼が出た!!」

「いや、岩の化け物だ!」

 その声に反応したベルが、窓の方へと飛んで行く。
 人々の視線は窓の外に向けられ、皆の頭上をぱたぱたと飛んでいる妖精には気付いていない様子だった。

「あ、あれはまさか…ゴーレム!?」

 窓から外を覗くと、黒々とした岩で出来た巨大な影が、道路上を軽井沢方面へ向かってゆっくりと歩いていた。

「…行くで!ジン!

「お、おう!」

 ベルに続いて窓から人型の巨大な影を確認したジンが応え、飛んで行くベルの後を追う。

「ほら、メアリー!ラム!仕事だってば!」

 ジンの言葉にメアリーはすぐに応じたが、ラムが膳の前から離れようとしない。

「くぅ~ん…まだお肉食べてないのぉ!」

「仕方ないじゃんか!ほら、早く!」

 嫌がるラムを引きずって外へ出ようとするジン。
ラムは廊下へと引きずり出される瞬間、恋人との今生の別れのような声で叫ぶ。

海老天さぁぁ~ん!
ステーキさぁぁ~~~ん!


 ベル達が外へ出るとやや日も傾いており、シルエットとなった岩山それ自体が、異様な雰囲気を醸し出していた。

「あっちや!」

 先程より前方に進んだ巨大な影を見つけたベルが叫ぶ。

「くぅ~ん…ゴハンは、あっち!」

 まだ諦めきれないのか、ラムがホテルの方を指差す。

「飯は後だって!
…しかし、窓からはシルエットになってはっきり見えなかったけど、ゴーレムにしちゃかなりスリムだった気がするな。」

 道を遠ざかる影を追いながらジンが呟く。

「そうやな…さっきの客が【オニ】言うてたけど、こっちの世界にもモンスターがおるって事やろうか?」

「鬼押出し園って言う位ですし…まあ、行ってみればすぐに分かりますよ…うふ♪」

 メアリーがジンの隣を走りながら言う。

「そやな。よし、急ぐで!?」

「ほら、ラムもいい加減に自分で走れってば!」

 遠ざかるホテルに手を伸ばし、悲しそうにきゅんきゅん鳴いていたラムはずっとジンに引きずられていたのだが、やっと諦めたのか不承不承自分の足で走り出した。

「まさか…あ、あれは…オニ…なんか?
ホンマにこっちの世界にもモンスターがおるんやろうか?」
 次第に巨大なシルエットに近付き輪郭がはっきりと見えてくると、それは今までベル達がリドルランドで見てきたストーン・ゴーレムと比べ細身で背も高く、ごつごつとしたどす黒い岩で形成されていた。
 また頭部には、確かに一本の角の様なものが生えているようにも見える。

(ズゥン…ズズゥン…)

 ゆっくりと歩を進める影…それに追いついた一同が巨体を見上げると、その腕に何かを抱えている。

「あ、あれは…」

 ジンが指をさし、声を上げた。

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