空想【はみぱん】小説(o^-')b

ファンタジー(?)小説をゆっくりまったりアップして行く予定です(;^_^A

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Humming from Pandora’s box ~013

「これはご主人の…日記帳…やな?」

「はい。日記といっても内容はほとんど研究の経過ばかりですが…読むと夫がどんなに恐ろしいものを研究していたかが分かると思います。」

 ベルはテーブルに置かれた手帳の表紙を両手で持ち上げて開くと最初の方からぱらぱらとめくり、目に付いた内容を飛び飛びに読み上げる。

(×月○◎日…リドルランドへ来てもう一年が経つ。
ここなら新たな研究対象を数多く見つけられると思っていたが、なかなか思うようには行かない…
△ 月×日…町へ出てみる。
そこで【ストーン・ゴーレム】なる話を聞き、興味を持つ。
どうやらスピリッツ山で採れる鉱石で作られた、遠隔操作型のロボットのような物らしい。
 材質が石というローコストで危険作業を代行するロボット…研究の価値アリ。)

 …うん?どこが恐ろしい研究なんや?
むしろ人のためになる、ええ研究やないか。」

 ベルは読んでいた手帳の上に立ち上がり、美沙の方へ振り向く。

「私もそう思いました…しかし途中から研究の方向が変わってくるんです。」

 美沙はベルに手帳から降りるよう促すと、ぱらぱらとページをめくり、再びテーブルへと置いた。

「どれどれ…え~と、□月○△日…お?例の蔓植物の一件のちょっと前やな?(採掘した鉱石を粉砕中に手を切ってしまったが、そのまま粉砕した鉱石を観察する。
 すると私の血液に触れた鉱石が妙な動きを始めた。)

 ははぁ…ご主人は知らずにストーン・ゴーレムと【血の契約】をしてしもうたんやな?
□月●×日…私の血液に触れた鉱石は、顕微鏡の中で私の言うとおりに形状を変化させた。
この研究が上手く行けば、菅平の奴に一泡吹かせてやれるはずだ。
また、血液以外の体液を使用しても同様の結果が得られる事も判明…ヒトのDNA情報が何らかのファクターか。
明日からマウスを使った実験に切り替えてみる予定。

…はぁ~。ほんまディジェネはすごいことするなぁ…ところでここに出てくる【菅平】って誰のことや?」

「はい…ここへ来る以前、夫が勤めていた研究室の教授なのですが、夫は自分の研究を横取りされたとぼやいていた時期がありまして…こちらへ来たのも、菅平教授から離れたいというのが一つの理由だったように思います。
 どれだけの恨みがあったのか分かりませんが、夫の日記には時折教授を罵るような文章が出てくるのです。
 では最後のページをご覧になって下さい。」

 再び手帳を手にした美沙が、ページを進めてベルの前に差し出す。

「ん~?(◎月○□日…研究は遂に完成した。
先日作成した小型ゴーレムも調子が良く、従順なため愛着も湧く。
こちらからゴーレムを日本へ持ち出すことは出来ないが、研究の成果として粉砕した粉を持ち出す事は出来る。
理論上はそれを混合することにより日本の鉱石でもゴーレムは作成可能。
完成には4~5日かかるだろうが、菅平に鉄槌を下せ!

あぁ~ん!?最初と主旨が変わってるやないか!
こりゃ、ゴーレムで菅平をやってまうって事か!?」

夫を助けてください!あの人が犯罪者になってしまう前にゴーレムを破壊して欲しいんです。

 突然テーブルにひれ伏し、目の前のベルに懇願する美沙。

「ちょ、ちょっと待ちぃや。
ご主人が大変なことをしそうなのは分かったけど、例の植物の話は出てけぇへんかったやないか?」

 縋り付く美沙から逃れようと、ベルが苦しそうにもがく。

「そうだよ、それに居場所が分かっているんなら、どうして自分が行かないの?」

 シェリーもまだ美沙に対する疑念が残っているようだった。

「あ…すみません、取り乱してしまって。
 勿論私もすぐに夫を追いたいのですが…ご存知かと思いますが、私が日本へ戻るには厳しい審査が必要で、許可が下りるまでに長ければ数日かかってしまうのです。
 そこで国境を守ってきた実績のあるあなた方なら、審査にも時間がかからないと聞きまして…
一刻を争うんです、明日にはきっとゴーレムは完成するでしょう。
夫が向こうでゴーレムを完成させないうちに…夫が犯罪者になってしまわないうちにそれを止めて欲しいんです!」

 確かにベル達は当時【密入出国者ハンター】として、通常よりもかなり自由な出入りを許されており、特に緊急を要する時などはほぼフリーパス状態の頃もあった。

「まあウチらなら、今でもそう時間はかからずに審査は通るやろな…けど、例の蔓植物の話はどうなったんや?」

 今の段階ではベルの興味は依頼内容よりも蔓植物の正体の方にあるようだった。

「あ、すみません。…あの植物なのですが、実は夫の研究室に設置されている排気口から漏れたスピリッツ山の鉱石の粉塵が偶然作り出したものだったようなのです。」

「えぇっ!?」

 美沙の告白に、一同は床に着く程あんぐりと口を開いて、美沙を覗き込む。
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Humming from Pandora’s box ~012

「今月もこのまま行くと、かなり厳しいで…」

 プラスチック製の小さなそろばんをパチパチと弾きながら、ベルが呟いた。

「えぇ~?またごはん減るのぉ?」

 ソファーで寝ていたラムがそれを聞き、悲しそうな声を出す。

「ここんとこ時空ゲートでのトラブルものうなったからな…普通の探偵業務だけじゃ元々かなり厳しかったのは事実や。
また、ディジェネの護衛なんかの依頼が入ればええんやけどなぁ…」

 ベルがわざわざリドルの城下町から離れたこの時空の狭間の間近に事務所を構えたのは、当初頻繁にあった密入国や日本側へ入り込もうとするモンスターを捕らえる事により支払われる賞金を稼ぎやすくするためだったのだが、最近では法整備も進み警備自体も強化されて、そのような事件がめっきり減ってしまったのである。

「何か簡単で、しかもがっぽり儲かる仕事でも入ってきぃへんかな…」

 ベルが天を仰ぎ呟く。

「居所の分かっている人の所在調査とか?」

 いつの間にかシェリーも会話に加わっていた。

「あ~せやな~…そんなんやったら楽でええけどなぁ…って、そんなんあり得るか!」

 そんな他愛も無い会話をしているところへ静かに事務所の引き戸が開けられる。

(カラカラカラ…)

「あの…すみません。」

「やったで!お客はんや。
いらっしゃ…あぁ!?あんたは…」

 待望の来客に、ベルは勢い良く振り向いてこれ以上は無いという程の笑顔で迎えたが、そこに立っていた女性を見るなり不快な態度を露にする。

「こないだみたいな依頼やったら受けへんで?
あんなん、いくらもろうても割に合わんからな?」

 そう、入り口に立っていたのは増田美沙…数週間前に正体不明の蔓植物の退治を依頼に来た女性である。
 ソファーの上にいたラムも、眉間にしわを寄せて奥の方へと移動する。

「いえ、今回は人探しをお願いしたくて…ここ数日夫の姿が見えないもので…」

「また山へ入っているんとちゃうか?
前にも一日中顔を会わせない日もある言うてたやんか。」

 ベルにとって、あの体験は余程ショックが大きかったのであろう…普段の彼女なら金の臭いに飛びつかないわけが無い。

「えぇ…けど今回は違うんです。
今までは顔を会わせなくても研究室にこもるとか、家には必ず帰ってきていたんです。
 それが、もう三日以上家に戻った気配がないので…」

 美沙は神妙な面持ちで入り口に立ち尽くしている。

「あら♪お客さんですね?ようこそいらっしゃいました。
どうぞお掛けになって下さい…すぐにお茶をお出し致しますので…」

 給湯室のドアの前にすうっと現れたメアリーが美沙に気付き、応接セットの方へ案内する。

「こらメアリー、何勝手なことしとんねん!
まだウチ等は依頼を受けるとは言うてへんねやで!?」

 蔓植物の一件の時に同行していなかったメアリーには、当然美沙を嫌う理由など無い。
 と言うよりむしろ彼女は美沙の事自体を覚えていないようだった。

「あらぁ?受けるも何も、お話を聞いてみないと分からないでしょう?
折角のお客さんを大切にしなきゃね?…うふ♪

 そういうとメアリーは、何か言おうとするベルを気にせず、給湯室へと消えて行った。

「…ま、まあええわ。話だけは聞いたるけど、依頼を受けるかどうかは別やで?」

「分かりました。
けど今回のお願いは、どうしてもこちらの方々のお力が必要なんです。
 と申しますのも、捜索をお願いしたい場所が…いえ、捜索と言うより居場所はほぼ見当がついているのですが…」

「ベル、ほら!居所の分かっている人の所在調査だよ!?」

 皮肉交じりにシェリーが口を挟む。
彼女もまた、美沙に対し良い印象を持っていないのであろう。

「そんなわけあるか!?きっと裏があるに決まっとる。
まずは全部聞いてからや…今回は、とりあえず行ってみようなんてことは絶対にせえへんからな。」

「私、相当嫌われてしまったようですね?
…けれど思い出してください。第一の被害者は【私】だったことを…そうして、加害者は…故意で無かったとはいえ…夫なのです。」

 そう言ったまま俯き下を向く美沙。

「やっぱりな…けど故意ではないって、どういうことや!?」

 美沙の言葉に一同が驚きの表情を見せる。

「それは、今回お願いしたい内容とも関わってきますので、順を追ってご説明致します。」

「よし、分かった。…と、とりあえず、話の続きを聞こか?」

 ベルはそう言ってテーブルの上に腰をおろした。

「お茶が入りましたぁ♪」

 タイミングが良いのか悪いのか、メアリーが給湯室から出て来る。

「さぁみなさん、今お持ちしまっ…たったった…!!

 器用にもメアリーは何も無いフラットな床で足を躓き片足でケンケンをするように進む。

「あぁっ!このままじゃ窓にぶつかる!シェ、シェリーさん!その窓開けて!!」

え…ま、窓!?あ、うんっ!

(ガラッ)

 メアリーの火急を要する声に、咄嗟に窓を開けたシェリーだったが、その窓は人が出入りするためのものではなく、腰から下は壁になっているものだった。

ぶ、ぶつかる!

 シェリーが叫ぶが、メアリーはトレイを開いた窓から突き出し、体は壁をすり抜けてケンケンのまま外へ出て行ってしまった。

 …僅かの間、沈黙が生まれる…

「……じゃ、話を続けてくれるか?」

 毎度の事にベルは何事も無かったかのような態度で話を進める。

「あ…はい。夫の居場所ですが、恐らくは【鬼押出し園】付近のホテルに宿泊していると思うんです。」

「鬼押し…って、リドルじゃないんか!?」

(…かしゃっ)

 窓の外から何かが割れる音が聞こえたが、一同はそのまま話を続ける。

「ええ…これを見て頂けますか?」

 そう言って美沙がバッグから取り出したメモ帳のようなものをベルに手渡す。

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Humming from Pandora’s box ~011

「なあベル…ずっと不思議に思ってたんだけど、何で俺のスペルチップに俺の魔力じゃ使えないような魔法がインストールされてるんだ?」

 たまたま依頼のない天気の良い午後、ジンが自分のブレスレットをしげしげと見ながら呟いた。

「ん?ああ…え~と、それはな…」

 ベルは突然の質問に口ごもる。
 そもそもジンの持つブレスレットは、ベルから渡されたもので、彼自身まだ知らない部分が数多く残されている。

「スペルチップに呪文をインストールするには、その魔法を元々使える相手と戦って勝つか…滅多に無いけど話し合いで分けてもらうかのどっちかだよな?」

 リドルランドには二種類の魔法使いがいる…一つは生まれながらにして魔法が使える種族(エルフなど)と、もう一つはジンのようにブレスレットなどのマジックアイテムを利用して魔法を使う者達である。
 後者はジンの言うように、幾つかの手段で呪文を分けてもらうことにより、初めてその魔法を使えるようになるのだ。
但し後者同士が戦い、自分よりも上のクラスのチップを奪えたとしても、魔力が及ばない場合にはそれを使うことは出来ない。

「あ…あぁ。せやな。」

 何故か普段と違い、ベルの言葉数が少ない。

「けど俺が今までに戦って得た魔法は、初歩の炎系魔法数種類だけなのに、こいつには見たことも無い魔法がいくつも入ってるじゃんか…しかも水系(アクア)や光系(レイ)なんかのチップもあるし…この間試しに幾つか使おうとしたけど、俺の魔力じゃどれも発動しなかったぜ?」

「そら当たり前や。今のジンの魔力じゃどれも使えへんやろな。」

 身をもって分かっているとは言え、ベルの言い方にジンは少々カチンと来たようだ。

「だ・か・ら!…何でそんな呪文がコイツに入ってるんだって聞いてるんじゃんか!」

「お…怒ったんか?すまんすまん。
せやけど多く入っとる分にはええやんか。魔力さえアップすればただでその魔法が使えるようになるんやから…な?ははは…な?な?」

 何かをごまかすような口調で、ベルは話を切り上げようとする。

「そりゃそうだけど…」

「そ、そや。喉が渇いたな…お~い、シェリー!紅茶淹れてくれへんか!?」

 納得の行かないジンを遮るように、ベルがシェリーを呼ぶ。

「えぇ~!?ベルは飲む量が少ないから、作るのが面倒なんだモン。メアリーなら作ってくれるんじゃないの?」

「わたた…メ、メアリーは呼ばんでえぇて!な、なら三人で飲も。な?…な?」

 慌ててシェリーを説得するベル。

「それならいいけど…けどベル、妖精のクセにどうして幽霊が苦手なの?」

 シェリーは戸棚から三人分…いや、二人分のカップとミルクピッチャーを用意しながらベルに問いかける。

妖精と幽霊を一緒にすなや!
幽霊ってのは死んだ人間の事を言うんやで?この世の者じゃないねんで!?」

「それならゾンビも一緒じゃん。
いつだっけか…ほら、暫く前に仕事の途中でゾンビと戦(や)り合った事があったじゃんか?
確かその時は別に怖がりもせずに戦ってたじゃんか?」

 ジンが横から口を挟む。
 既にスペルチップの事は忘れてしまっているようだ。

「アホぉ!幽霊とゾンビは全然ちゃうやろ!
ゾンビは自分の意思で動いてるんやのうて、ストーン・ゴーレムなんかみたいに、誰かが操ってるんやないか!あん時かてそうやったろ!?
 ゴーレムは操っている術者を倒せば動かへんようになるけど、幽霊は自分の意思で取り憑いたり呪ったりするんやで!?」

 ベルがテーブルの上に立ち上がり、体中を使って熱弁を振るう。

「私もゾンビと一緒にされるのは、ちょっと心外です…うふ♪

 ベルの背後から唐突に声がする。

「うっぎゃぁ~!!出・で・で…」

「デビューシングル?」

きゃっ♪もうその話はしないで下さいよ~…って、何の話や!!

(スカッ…)

 分かっていてもボケに対しては、つい体が動いてしまうベル…しかし当然今回もハリセンは空を切った。

「これだからいややねん…ボケるんやったらちゃんとツっこみも受けんか~い。」

 わけの分からない理屈を言いながら、ベルはその場に座り込んでしまった。

「今回はノリ突っ込みだったな?」

「そうだね。ベルったら、本当はメアリーと気が合うんじゃないの?」

 ジンとシェリーが小声で囁きあう。

「誰と気が合うねん!?
何でウチがこんなのと組んでお笑い界に旋風を巻き起こさなあかんのや!!」

「き、聞こえてたの…あはは。
ごめんごめん…って言うか、ボク達そこまで言ってないけど…」

 ベルに詰め寄られたシェリーが冷や汗を垂らし、作り笑いで少しずつ後ずさる。

「とにかく紅茶をお作りしますね…うふ♪

 メアリーは笑顔でシェリーの用意したカップを受け取り、給湯室へと消えていった。
 少しして、トレイを持ったメアリーが鼻歌交じりに戻って来る。

「お待たせしました…うふ♪

「お!?今回はちゃんと持ってこれたじゃん。」

 ジンのセリフには、賛辞と言うよりも驚きの色が強かった。
恐らくその場にいた全員が、一度は給湯室からカップの割れる音が聞こえると思っていたようだった。

「てへっ♪…そう何回も失敗なんかしませんよ…あ、お砂糖は自分でお好みの量を入れて下さいね♪」

「お?今日はスティックシュガーじゃなくて、ガムシロップなのか…」

 そう呟いてジンがティーカップに液体を落とす。

「え?…ガムシロッ…て、あぁ!!ちょっと待って下さ…」

(ちゅどぉぉ~ん!)

 次の瞬間、紅茶のカップは吹き飛び、テーブルやジン達の顔も黒焦げになっていた。

「お砂糖と間違えて、ニトログリセリンを持って来ちゃいましたぁ…てへっ♪

 そう言うメアリーの額にはカップの破片が刺さり、顔中血まみれになっている。

「だから幽霊のクセに血ぃだらだら垂らすなや!…どうやったらガムシロとニトロを間違えるんや!?いやいや、そもそも何で給湯室にニトロが置いてあんねん!って言うか、ツっこみどころが多すぎるわ!」

「あら、ベルさん。ニトロニトロって言ってますけど、さっきのはニトログリセリンで、ニトロとは違いますよ?…うふ♪

 鮮血で顔を真っ赤にしたまま、メアリーが笑顔で答える。

「そんな事聞いてへんわ!何でこんな所にそんなもんを置いてあるのかを聞いとんのや!」

 顔中煤だらけにしながら、ベルがメアリーに詰め寄る。

「この前、山に山菜を摘みに行った時に珪藻土が手に入りまして、それで何か作れないものかと…賢い主婦の知恵ですね?てへっ♪

「山菜摘みのついでに爆薬を作る主婦なんか、どこにおんねん!?って言うかお前主婦ちゃうやろ!」

 まくし立てるベルにメアリーは手を振り答える。

「で、でもまだ珪藻土は使ってないんです…これからニトログリセリンを染み込ませて…」

「もうえぇっちゅうんや!そんなん、はよ処分しぃ!」

 メアリーは残念そうに肩を落とし、給湯室へと戻って行った。

「あらぁ?みんなでイメチェン?ベルは似合うけど、ジンはアフロより元の方が素敵だったのに…」

 いつの間にか事務所の入り口にはネイが立っており、先程の爆発で黒焦げになった皆を不思議そうに見回す。

「イメチェンちゃうわ!誰がレゲエの神様や!」

「そんな事誰も言ってないけど…」

 ネイがベルを軽くあしらい、ジンの隣に腰を下ろす。

「あ~あ…今日は依頼が無いって聞いてたから、ちょっと足を延ばして散歩に行って少し疲れちゃった…メアリー?いるんだったらお茶を淹れてくれるかし…もごっ!?」

 ジン、シェリー、ベルの三人は、ネイのセリフに慌てて彼女の口を塞いだ。

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つぶやき その3

Humming from Pandora’s box ・・・ このブログにアップし始めて、10話になりました^^

けど、自分がアップするだけで殆どよそへ訪問しないせいか、いまだにコメントを頂けていません( ┰_┰) シクシク

多分、ちゃんと読んでくれてるのは、昔ネトゲで知り合ったお友達1人なんだろうなぁ・・・^^;

もしも、何かの偶然ででここへ立ち寄ってしまい…また何かの間違いでここの小説に目を通してしまった方がいたら…一言でも感想をカキコして行ってくれると、嬉しいです♪
けど私もど素人ですし、打たれ弱いのであまり辛辣な批評はご容赦を(その場合、オブラートに包んでお願いします^^;

・・・では、続きをどうぞ~♪

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Humming from Pandora’s box ~010

事務所へと戻った一行は、各々順番に風呂に入っていた。

今はラムとシェリーが一緒に入っており、時折きゃっきゃと騒ぐ声がする。

「しかし、アレは一体何だったんだろうな?」

 そう言いながらジンがソファーに身を投げ出し、誰とはなしに呟く。

「そうやな…あんなん今までリドルじゃ見たこともないで…」

 カップ型のミルクピッチャーに入った紅茶に口をつけながら、ベルが言う。

「…まあ、虫や小動物を捕らえて栄養にする植物ならあるけどね?
さっきベルが摘んだ【フランシーヌ】って花も、肉に似た臭いに誘われた犬なんかの動物にわざと花を食べさせて殺し、その腐乱した犬の死骸で自分の周りの土壌を豊かにするって植物だしね?」

 バスローブをまといタオルで髪を束ねたネイは、それまで壁にかけてある姿見に自分を映していたが、ジンの方に歩み寄ると、彼の隣に腰掛けた…彼女からはほんのりとした石鹸の香りが漂っている。

「けど正直なところ、私は最初、あの美沙が仕組んだものだと思っていたのよ。」

「ど、どういうことや!?」

 ベルは驚き、振り向いた。

「まずは最初に女性を連れて行きたがったでしょう?確かに理由は納得の行くものだけど、ベルでも良かったわけよね?」

「そうだよな…けどベルは妖精だし、美沙はディジェネだろ?
リドルのモンスターの類にはまだ慣れてなかったのかも知れないし、なにしろベルはあの性格だから…【女性らしい女性】が良かったんじゃないか?」

誰がモンスターや!

 ベルはつかつかとテーブルの上をジンの方へ歩み寄りハリセンを振り下ろす…が、ジンは間一髪でそれを受け止める。

ネイもそれを気に留めず話を続けた。

「確かにそういった偏見はあるかも知れないわね?
けど、あの植物が燃やされているのを見て、慌てて水をかけたでしょう?」

「…そ、そういえばそうだな。
けどあれも、自分の家の真横でメラメラと炎が上がっていれば、誰でも消そうとするんじゃ…」

 ハリセンが不発に終わったベルはジンの肩に乗り、彼の耳を引っ張る。
ジンはそれを引き剥がそうとしながら言葉を返す。

「そうなのよ…確かにどちらもジンの言うとおり、説明のつく行動ではあるのよね。
…で、最後にした私の質問なんだけど、彼女の答えは私の期待したものじゃなかった。」

「質問?…何か美沙と話してたっけか?」

 ネイが帰り際に美沙と交わした会話を、ジンはまるきり覚えていなかったようだ。

「ええ…私もなるべく違和感の無いように、雑談っぽく話を切り出したんだけど…」

「ああ、庭の話やな?」

 ジンの首に足を絡ませ、ぎゅうぎゅうと締め付けながらベルが答えた。

「そう。良く聞いて?推理と言えるかどうか分からないけど、私はこう思ったの。
 まず、美沙は元々科学者か、またはその助手をやっていたはず。
こっちの世界でも良くあるけど、同じ職場で働いているうちに恋心が芽生えた…所謂職場結婚をしたんでしょうね。
 そうして、美沙は退職して家に入った。
多分ここまでは間違いないはずよ?…彼女の家のリビングに飾ってあった写真に、白衣を着た二人の写真があったし…随分と埃を被っているようだったけど。」

「うぐ、苦し…そ、それで?」

 話を聞きながらもジンはまだベルと格闘している。

「その後…いえ、その前かも知れないけれど、ディジェネとリドルランドが繋がり、科学者にチャンスが巡って来たのよ。
そうして二人は、研究に便利なスピリット山麓へ引っ越した…美沙は突然見知らぬ土地の、まして誰も住んでいないような山の麓で毎日ご主人の帰りだけを待つ…退屈でしょうね?
 そんなある日、買出しに出た町中の花屋で見たことも無い花を見つけ、それに惹かれていった。」

「それがガーデニングのきっかけってこっちゃな?」

 ベルは満足したのか疲れたのか、ジンから離れ、飲みかけの紅茶を口にする。

「けれど選んだ花が問題よ。
確かに知らない人間にはただの綺麗な花々だけど、あそこにあった花はどれもただの花ではなかったでしょう?」

「っぷふぅ…それが故意に選んだ花…?」

 やっとベルに解放されたジンは、大きなため息を一つついた。

「そう思ったの…最初はね?
そしてその花々を使った研究の成果が、あの不思議な蔓植物…けど過ぎた詮索だったらしいわ。
マカツァーヴァは球根類だし、フランシーヌも低木類で蔓植物ではないから、庭の花々をどういじってもあんな植物は出来ないと思うし…最初にここへ来た時もわざわざ自分が襲われたフリをしなくても、いくらでも誘い出す方法はあったはず…それに、帰りがけに私とした会話も【ただのガーデニング好きの主婦】の会話だったしね?
恐らく、あの笑顔に裏は無いと思うわ。」

 ベルはテーブルに座り込んで腕を組み、大きく頷いた。

「さすがネイやな!ウチもそこまでは考えられへんかったけど、言われてみればその通りや!
…けど、そうするとあの植物はなんやったんやろ…」

 ネイが両手を開き肩をすくめる。

「さあね。それはなんとも言えないけど、アレはリドルにも…勿論ディジェネの世界にも無かった、所謂【新種】でしょうね。それが、科学者の敷地にいたってことは…」

旦那の方か!

 拳を握り、ジンが身を乗り出す。

「そこまで結論付けるのはどうかと思うけど否定する要因はないわね。
現時点じゃ、ご主人の情報が少なすぎて…今分かっているのは、リドルの鉱石を研究している熱心な科学者で、結婚はしているけど仕事を優先するタイプ…というより仕事以外に興味が無いのかしらね。
結婚指輪も随分前からしてなかったようだし、眼鏡の蔓も壊れたのをテープで止めたまま直していないようだったしね?」

「へぇ…あんな短時間で、良くそこまで見てるな。」

 ジンが感心した表情でネイを見つめる。

「あら、ジン…私に惚れ直した?」

 ネイが肩越しにウインクをする。

「どどど…ど、どうしてそういう話になるんだ?
ととと…とにかく、もう依頼は終わったんだし、これ以上詮索してもしょうがないだろ?」

 擦り寄るネイから後ずさりながらジンが言った。

「せやな!金にならん話はもうやめや。
明日からまたきっちり働かんと、食っていけへんで!?」

 ベルがそう言って大きく背伸びをすると、奥が騒がしいのに気付いた。

(バタバタバタ・・・)

「お姉ちゃ~ん!ラムがボクの胸を舐めるんだよぉ!」

 シェリーがバスタオル一枚の格好で事務所に飛び込んできた…体はまだびしょびしょに濡れている。

「だってシェリー、胸に怪我してたから…」

 シェリーの後ろから、申し訳なさそうにラムが顔を覗かせる…彼女は裸のままである。
 ネイはシェリーに歩み寄ると、彼女の肩に手を沿えて優しく語りかける。

「ほら、ここの所…さっきの蔓で切ったんでしょう?ラムにはヒーリングが使えるから、傷を治してくれようとしたんじゃない?」

「だけど、舐めなくっても…何だかくすぐったくて…」

 姉を見上げながら、シェリーはすねた顔を見せる。

「シェリー、ラムのヒーリングはな、手でも出来んねんけど舐めてもろうた方が良く効くねん。
ラムはシェリーが好きやから、早く治って欲しかったんちゃうか?」

 ぱたぱたと飛んできたベルがネイの肩に降りると、彼女の言葉を補足する。

「だけど…だけど胸だよ?恥ずかしいモン。」

「まあ…せやな。じゃあラム、改めてシェリーに手でヒーリングしたってくれるか?」

「うん!任せて!!」

 自信に満ちた笑顔でラムは勢い良く頷くとシェリーの前に立ち、そっと彼女の胸に手を沿えた。
 その途端ぽわっと手のひらから暖かな光が生まれ、シェリーの小さな乳房を照らす。
 そうして数十秒後にはどこに傷があったのかも分からない程になっていた。

「…どう?」

 シェリーの胸を照らしていた光が弱まり、ラムが首をかしげて聞く。

「あ…ありが…と。」

 頭では理解したものの、まだ照れが残っているのかシェリーの返事にはぎこちなさが残っていた。

「…へ、へくしっ!」

 ほっとしたラムが大きなくしゃみをする。

「ほら、濡れたまんまでいると風邪ひくで?もう一度よ~く暖まってきぃ。」

 ベルが二人を促す。

「うん…行こ、ラム」

 そう答えてシェリーはラムの手を取ろうとした…しかしそこでラムはまるで犬がするように、体をぶるるんっと震わせ、周りに飛沫を撒き散らす。

きゃあ!冷たっ!

「こらラム!それは事務所の中でするなっていつも言うとるやろ!?」

 その場に笑い声が生まれ、取り戻されたつかの間の平和を二つの満月がいつまでも照らしていた。

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